ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

角膜潰瘍の犬の1例

 

今回は角膜潰瘍を罹患してしまった子についてお話しします。

 

11歳のビションフリーゼの女の子で、右目をしょぼしょぼすると主訴で来院されました。

こちらが初診時の様子です。

(上の写真はフローレス検査時の様子です。)

 

右目に広範囲の角膜潰瘍と結膜浮腫、潰瘍周囲に血管新生が見られました。

角膜潰瘍は範囲が小さい場合は内科的療法で治癒することが多いですが、

範囲が広いと外科的治療を行わないと治らないこともある疾患です。

今回は、飼い主様と相談の上、まずは内科療法を行い、

改善の程度次第で外科的治療も検討していくことにしました。

 

内科療法としては、抗生剤の内服と各種点眼薬の投与を行いました。

点眼薬は、オフロキサシン、パピテイン、ヒアルロン酸ナトリウムを選択し、

点眼回数は、数時間おきに最低1日4回以上をお願いしました。

 

潰瘍部分に角膜の増生が見られ、血管新生も行われていました。

そして約2ヶ月後には増生した角膜の透明度も回復してきて順調に回復してきています。

今回は範囲の広い角膜潰瘍という疾患でしたが、

2ヶ月という時間をかけて内科療法のみで改善していきました。

この改善には、飼い主様の努力が必要不可欠でした。

 

角膜潰瘍では、感染コントロールや角膜治癒のため1日何回もの点眼が必要です。

しかし、ご家庭の事情等により、なかなか2,3時間おきに点眼を行うことが難しい場合が多いのですが、

この子の場合、飼い主様に頑張っていただき1日何回も点眼を行うことができました。

 

私たち獣医師は治療のため、日々、病気のことについて勉強をしていますが、

飼い主様との協力はとても重要なことだと再認識いたしました。

これからも、しっかりとコミュニケーションをとり、患者さんにあった治療法を検討できればと思います。

 

当院では、他にも

角膜潰瘍が外科治療できれいに治った子や、治療用コンタクトレンズを使用することもあります。

様々な治療法があり、悩まれることがあると思います。

その子に最適な治療法を一緒に探していければと思いますので

お気軽にご相談いただければと思います。