症例は13歳、ミニチュア・ダックスフント、避妊メス。
最近よく物にぶつかるという主訴で来院されました。
検査をすると、充血も無く、眼圧は正常で緑内障や白内障を起こしてる所見はありませんでしたが、光に対しての反応は無い状態でした。
眼のエコーを確認しても、網膜剥離や眼内腫瘍等の所見もありませんでした。
眼底カメラという機器を用いて、視神経領域である眼底を観察してみると、網膜変性症を生じており、突発性後天性網膜変性症(SARD)を生じている可能性が高い事がわかりました。
上の写真は正常な視神経を示しており、下の写真は網膜変性の写真です。
視神経への血管分布も乏しいのがわかります。
SARDは光を脳に伝える為の視神経が存在する網膜という部位に異常がおこり、突然目が見えなくなる病気です。
SARDの原因はわかっておらず、明確な治療法が無い事が現状です。
動物は眼が見えなくなってしまうと、物にぶつかり角膜損傷の危険があるので、失明してしまった場合は犬の環境を整えてあげる必要があります。(例:家具の角に保護剤をつける、ご飯やお水の位置を変えない、家具の配置換えなどはなるべく避ける、、、)
また、SARDではなく、緑内障や白内障による視力の低下等は治療が可能な為、ワンちゃんの異変に気がついた際は早めのご相談をお勧め致します。