ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

胆嚢粘液嚢腫に対して胆嚢摘出術を行った犬の一例

今回は胆嚢粘液嚢腫についてお話しします。

 

 


胆嚢粘液嚢腫とは、中年齢から高年齢に発症し、胆嚢内にゼリー状のムチンが多量に蓄積する病態です。過剰に蓄積した粘液物質が胆嚢壁を圧迫し、胆嚢破裂を起こす可能性があります。重篤な胆汁性腹膜炎を引き起こす可能性がある疾患です。

 

症状として嘔吐、食欲不振、黄疸が認められることがあります。今回の子は元気食欲の低下を主訴に来院されました。

血液検査にてGPT1000以上、GOT 753、ALP 1225以上、TBill 2.7、CRP 14以上を示し、酵素の上昇が認められました。
エコー検査にて胆嚢のキウイフルーツ状構造総胆管周囲の高エコー変化が認められました。


すぐに入院し、内科治療を行ったところ、肝酵素を含め、元気食欲などの一般状態の改善が認められました。一度胆嚢粘液嚢腫を発症している場合、再発する可能性が高いため、外科的に胆嚢を摘出しました。

 

 

口腔鼻腔瘻の治療として抜歯術を行った犬の一例

 

口腔鼻腔瘻ミニチュアダックスの症例についてお話します。

 

鼻水とくしゃみが止まらないことを主訴で来院。

その子は重度歯周炎があり、歯周炎が原因で上顎骨の一部が溶け、口と鼻がつながる口腔鼻腔瘻が原因と考えられました。

そこで、抗生剤の内科治療に加え、抜歯と口腔粘膜フラップ術の外科手術をすることになりました。

処置前の状態です。

たくさんの歯石と歯垢がついており、歯肉も腫れ上がってしまっています。

 

抜歯前に生理食塩水を注入し、どの歯が鼻腔と通じていているのかを探します。

その後、抜歯を実施しました。

こちらが抜歯後の写真です。

 

この子は抜歯後、2週間経ちましたが縫合部の裂開はなく、元気に過ごしてくれています。

 

口臭も減りくしゃみもなく、QOLの向上に繋がりました。

歯の健康は予防が大事であり、抜歯にならないようにするために日頃からの歯ブラシと定期的なスケーリングが重要です。

もし口腔でお困りなことがありましたらお気軽にご相談ください。





上腕骨遠位端骨折の犬の一例

症例は4か月齢、ゴールデンレトリーバーの女の子です。

階段から落ちたという主訴で来院されました。

 

レントゲンを撮る右前肢の上腕骨遠位端骨折でした。

上腕骨の遠位端は若齢犬の骨折の好発部位となっています。若齢犬の骨には長板という、骨の成長に重要な箇所があり、この場所は他の骨の部位より脆く折れやすくなっています。

 

長板骨折は骨格の変形といった成長異常に繋がるため、早急に整復する必要があります。

こちらが術後のレントゲンです。

今後の骨成長を妨げない為に、骨折整復に使用したインプラントも骨折が治癒した段階で除去する必要があります。

 

若齢犬は骨が柔らかく、より骨折しやすくなっていますので、活発な子など高い所に飛び乗ってしまう子などはより注意して見守ってあげる必要があります。

貧血の猫ちゃん

今回はマイコプラズマに感染したことにより貧血になってしまった猫ちゃんをご紹介します。

 

ヘモプラズマ症マイコプラズマ(ヘモプラズマ)が猫の赤血球表面に感染し、溶血性貧血が引き起こされる疾患です。

 

感染急性期では元気や食欲の低下、貧血、黄疸、可視粘膜蒼白、呼吸促迫などの溶血性貧血に関連した臨床症状が認められます。

 

マイコプラズマの感染経路は完全には解明されてないですが、外部寄生虫による吸血や猫同士の喧嘩傷、母から子への垂直感染などの経路が考えられています。

 

診断方法は血液塗沫標本で赤血球表面にマイコプラズマが寄生していないかどうかを直接確認する方法やPCR検査を用いた遺伝子診断法があります。

 

今回来院された猫ちゃんは他院で血液塗抹検査を行ったものの、マイコプラズマは検出されませんでした。

自己免疫疾患を疑いステロイド剤を投与してましたが、貧血は改善しなかったそうです。

 

元々野良猫ちゃんで保護された当時ダニが寄生していたとのことだったので、当院にて念の為PCR検査を行ったところ、、、

 

マイコプラズマ3種類のうち2種類、陽性との結果が出ました。

 

治療法は抗菌薬の投与が有効とされており、投薬を開始してから2週間後の再診時には貧血は見事に改善してました。

 

お外に遊びに行く猫ちゃんは注意しましょう!ノミダニの駆虫薬はいくつか種類があるので、何かご不明点がありましたらいつでもご相談にいらして下さい。(ノミも注意です)

猫ちゃんの爪刺さりによるパッドの損傷

猫ちゃんの爪切りは定期的に行いましょう。

 

先日、指のどこかから出血しているという症状で猫ちゃんが来院されました。



指を触ると怒るので、飼い主さんは爪切りはおこなっていませんが、自分で爪を研ぐ猫ちゃんでした。

毎日爪を研ぐ猫ちゃんでも、爪が伸びすぎると丸くなり、肉球に刺さって出血してしまいます。

基本的には家猫ちゃんが行う爪研ぎはストレス発散目的が多く、外猫ちゃんの様にアスファルトで爪が自然と削れる事はありません。

また、老齢で関節炎があり、痛みで爪が研げなくなる子もいます。


家猫ちゃんの場合、爪が伸びすぎないように月に一回はお家での爪切りをお勧めします。


家だと怒って嫌がる子は、爪切りだけでも構いません、病院にご相談ください。


 

 

猫の直腸腺癌における手術と抗がん剤で寛解した一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠

 

 

 

今回は猫ちゃんの直腸に発生した悪性腫瘍(直腸腺癌)を手術と術後の抗がん剤緩解維持できてる症例についてお話しします。

高齢猫ちゃんが排便困難を主訴に来院。

触診にて多量の糞便の貯留を確認したため、直腸検査したところ、直腸出口から5〜10センチ程度入った位置に硬結腫瘤が認められため、当主訴の原因と考え、鎮静下で内視鏡による組織生検を実施しました。

結果は、上記の通り直腸腺癌でした。

排便困難の緩和が何よりもこの子のQOLの改善につながると考え、転移の有無を見るためにCT検査を実施し、その後外科的な摘出に踏み切りました。

術式は「直腸全層プルスルー」という方法で、直腸を肛門出口から反転させて引っ張り出し、腫瘍がある部位を切除し、残った直腸の断端を肛門側の直腸に吻合するという方法をとりました。

CTでは周囲リンパ節の腫脹が見られたため、術後の抗がん剤も実施しました。

 

幸い、術後半年経ちますが元気に過ごしてるそうです。

猫ちゃんの便秘には様々な原因がありますが、いつもと何か違う、、なんてことがあればすぐに来院してください。

高齢の未去勢オスのわんちゃんに見られたセミノーマ

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠

 

 

 

 

 

 

 

 

症例は10歳、ゴールデンレトリーバー、未去勢。

健康診断を目的として当院を来院されました。





一般状態は健康でしたが、左右の大きさの違う精巣が触知されました。

 

精巣はこのように腫大していたり、左右で大きさが異なると腫瘍化している可能性があります。



良性のものが多いですが、中にはセルトリ細胞腫という性ホルモンを過剰に分泌してしまうことで、皮膚症状や骨髄の造血機能を抑制(骨髄抑制)してしまうものもあります。

この骨髄抑制は重度の貧血が生じてしまったりと、致死的状況に至ることもあります。

また、中には精巣腫瘍がリンパ節に転移してしまうケースもあります。




本症例では精巣の摘出を行い、病理組織検査の結果は良性のセミノーマという診断結果でした。

 

 

 

精巣腫瘍は、高齢の雄犬や精巣が下降せず腹腔内に停留してしまう潜在精巣で多く見られます。

 

精巣の大きさが左右で違う、精巣が一つしか降りてきていないなどの症状がある様でしたらいつでもご相談ください。