ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

前十字靱帯断裂に対してTPLO手術を実施した一例

 

 

こんにちは。ふなばし動物医療センターです。

 

今回は、犬でよくみられる整形外科疾患である前十字靱帯断裂に対して、TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)を実施した症例をご紹介します。

 

「急に後ろ足を上げるようになった」「びっこを引く」「散歩を嫌がる」「立ち上がる時に痛そうにする」などの症状は、前十字靱帯断裂が原因かもしれません。

 

同じような症状でお困りの飼い主様の参考になれば幸いです。

 

 

前十字靱帯断裂とは?

 

前十字靱帯は、大腿骨と脛骨をつなぎ、脛骨が前方へずれることを防ぐことで膝関節を安定させる重要な靱帯です。

 

人ではスポーツ中のケガとして知られていますが、犬では事情が異なります。

 

犬の前十字靱帯断裂の多くは、加齢による靱帯の変性や体質、肥満、膝への負担の蓄積などによって少しずつ靱帯が弱くなり、日常生活の中で断裂してしまう「慢性断裂」です。

 

そのため、激しい運動をしていなくても発症することがあり、犬種を問わずみられる病気です。

 

また、小型犬では膝蓋骨脱臼を伴うことも多く、大型犬肥満傾向のある犬では特に発症しやすいことが知られています。

 

 

このような症状はありませんか?

 

前十字靱帯断裂では次のような症状がみられます。

 

  • 急に後ろ足を上げるようになった
  • びっこを引いて歩く
  • 散歩を嫌がる
  • 立ち上がる時に時間がかかる
  • お座りすると足が横に流れる
  • 後ろ足を触ると痛がる
  • 後ろ足だけケンケンすることがある

 

このような症状がみられる場合は、早めの受診をおすすめします。

 

 

症例紹介

 

5歳 トイプードル 4.5kg

 

来院時の様子

 

5日前から左後肢の跛行を認め、散歩中も足を着きたがらないとのことで来院されました。

 

身体検査および整形外科的検査では膝関節に疼痛が認められ、前十字靱帯断裂が疑われました。

 

レントゲン検査では関節液の増加や関節の炎症を示唆する所見が認められ、総合的に前十字靱帯断裂と診断しました。

 

 

診断で大切な「関節鏡検査」

 

前十字靱帯断裂では、歩き方や触診、レントゲン検査を組み合わせて診断を行います。

 

しかし、前十字靱帯が完全に断裂していない場合(部分断裂)では、触診だけでは断裂の有無を判断することが難しいケースも少なくありません。

 

また、レントゲン検査では関節液の増加や骨の変化は確認できますが、前十字靱帯そのものを直接評価することはできません。

 

そのため当院では、手術時に関節鏡(内視鏡)を用いて膝関節内を詳しく観察し、前十字靱帯の損傷の程度や半月板損傷の有無を確認しています。

 

関節鏡は数mm程度の小さな傷からカメラを挿入し、膝関節内を拡大して観察することができます。

 

特に半月板損傷は強い痛みの原因となるため、損傷が認められた場合には同時に処置を行うことで、術後の痛みの軽減や良好な回復につながります。

 

 

TPLO手術を選択した理由

 

前十字靱帯は、一度完全に断裂すると自然に元通りになることはありません。

 

そのため、活動性や体格、年齢、脛骨高平部角(TPA)などを総合的に評価し、今回はTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)を選択しました。

 

TPLOは脛骨の角度を矯正することで、前十字靱帯がなくても膝関節を力学的に安定させる手術です。

 

現在では世界中で広く行われており、

 

  • 良好な歩行機能の回復
  • 早期の荷重開始
  • 関節への負担軽減
  • 変形性関節症の進行抑制

 

が期待できる術式です。

 

 

手術

 

全身麻酔下で関節鏡検査を実施しました。

 

関節鏡では前十字靱帯の完全断裂を確認し、さらに半月板の状態を詳細に評価しました。

 

その後、TPLOを実施しました。

 

専用の器具を用いて脛骨を骨切りし、脛骨高平部角を適切な角度まで矯正した後、専用プレートとスクリューで固定しました。

 

手術は問題なく終了し、麻酔からの覚醒も良好でした。

 

 

 

術後経過

 

術後は疼痛管理を行いながら歩行を開始しました。

 

退院後は運動制限を行い、定期的にレントゲン検査で骨の治癒を確認しました。

 

術後2週間では患肢への荷重も改善し、術後1か月では日常生活に支障なく歩行できるまで回復しました。

 

 

前十字靱帯断裂は早期診断・早期治療が大切です

 

前十字靱帯断裂は放置すると、関節炎や変形性関節症、半月板損傷などを引き起こし、痛みや歩行障害が徐々に悪化していく病気です。

 

また、慢性的な前十字靱帯断裂では、数年以内に反対側の膝も発症するケースが少なくないことが知られています。

 

そのため、「少し様子を見よう」と考えず、早めに診察を受けることが大切です。

 

当院では、整形外科的検査から関節鏡による詳細な評価、TPLO・TTAなどの整形外科手術、術後管理まで一貫して対応しております。

 

愛犬の歩き方や足の使い方に違和感を感じた際は、お気軽に当院までご相談ください。

 

左前腕部の肉腫に対する断脚術

13歳チワワ避妊雌

 

左前肢の腫脹を主訴に来院されました。その際、痛みはなく歩行状態も正常でした。

腫脹部位は左前腕部(橈骨尺骨骨幹の軟部組織)で、レントゲン検査にて骨浸潤所見は得られませんでした。

感染性病変の可能性と腫瘍性病変の可能性が考えられましたのでその時点で細菌培養検査と細胞診検査のための針生検を行いました。

 

培養検査では細菌は生えず、細胞診検査では「軟部組織肉腫を疑う」という結果でした。

 

外科療法が第一選択と考えられましたので、術式決定のためCT検査とパンチ生検を行いました。

病理検査の結果は「肉腫」で、CT検査にて骨浸潤を疑う所見が認められたため、

飼い主様と相談の上、左前肢断脚術を行うことにしました。切除時には左腋窩リンパ節も合わせて摘出いたしました。

 

 

病理検査の結果は「肉腫」で左腋窩リンパ節には転移は見られませんでした。

 

四肢の腫瘍は、その大きさや浸潤の程度、悪性度により断脚の必要性が生じます。

ご家族にとっては受け入れにくく辛い選択になるかと思いますが、

病院としてご家族がよりよく過ごしていけるよう精一杯サポートしてまいります。

 

今回の症例では、手術後すぐから元気いっぱいで

 

 

3本の足で上手に歩き、楽しそうに過ごしています

 

左右尿管結石による水腎症について左右尿管膀胱新吻合部を行った猫

 

 

9歳雄猫、初診時、他院から腎盂の拡張が軽度にあるが原因不明との事で来院。本人は食欲元気なしでした。

エコーレントゲンにて膀胱近くの尿管に結石があり腎盂が軽度に拡張していました。

 

腎盂の拡張は、尿管の動きが悪くなり、膀胱に尿が行かなくなり、腎臓に尿が溜まってしまう事でおきます。尿が作られるのに、膀胱にいけなので腎臓にどんどん尿が溜まり、腎臓が悪くなってしまいます。原因は、尿管の石血餅だったり、尿管の炎症だったり、慢性腎臓病によるものであったり、様々ですが、原因により治療が変わります。

この猫ちゃんは腎臓にあった石が尿管に流れてしまい、膀胱の近くで止まってしまったため、尿管結石になってしまいました。

尿管結石は人間では痛みの症状が出ますが、猫ちゃんにおいては喋れないので、なんとなく元気がない食欲がない、健康診断してみたら尿管結石だったとなるケースが多いです。

 

この猫ちゃんは初診時は軽度の腎盂拡張、膀胱近くまで石が落ちてたため、内科治療を選択しましたが、5日たっても膀胱に落ちない、水腎化が起きたため手術になりました。

 

実は膀胱近くの尿管は1番細い場所になっており、1番詰まりやすい場所です。

 

尿管開口部をなるべく広く取って、膀胱に縫合しました。

 

この子は両側同じようになってしまったので、両側を新吻合しています。





 

術後は次第に元気食欲が出てきました。

腎臓の数値は少し悪いですが(ステージ2)維持しております。

 

皮下にできた軟部組織肉腫を摘出した犬の一例

 

 

症例は14歳、トイ・プードル、避妊雌

 

臀部に何かしこりのようなものがあるとの主訴で来院しました。

確認してみると尻尾に付け根部分に3-4cm大の腫瘤が確認できました。

 

細胞診検査を実施したところ、軟部組織肉腫の疑いとの結果だったため、

外科手術のによる摘出を実施しました。

 

皮膚ではなくその下の皮下組織に腫瘤があったため、筋肉に一部固着しているような状態でした。

そのため、筋肉の膜(筋膜)も一緒に切除しました。

 

 



病理検査の結果、腫瘍は軟部組織肉腫の中でも低悪性度に分類される血管周皮腫でした。

摘出状態は良好との結果でした。

 

 

股関節脱臼

股関節脱臼

 

先日、高所から落下後に右後肢を挙上しているワンちゃんが来院されました。

 

レントゲンで確認すると、

 

右の大腿骨頭部が寛骨臼から脱臼している事が確認できます。

 

今回は麻酔下で非観血的整復(皮膚を切開しない、外科的に治療をしない方法)を行いました

処置後、レントゲンで確認し、大腿骨頭が元の位置に整復されてる事が確認できました。

 

 

 

脂肪腫

脂肪腫を切除しました。

 

 

よく皮膚の下(皮下)にできるしこりを主訴に診察にいらしていただきます。

 

その中でも圧倒的に多いのは脂肪腫ではないでしょうか?

 

 

脂肪腫は英語ではLipomaと言われ、良性の脂肪細胞の塊です。

 

中高齢のわんちゃんで多く見られる腫瘤で、基本的には命に関わることは少なく痛みもないことが多いです。

 

 

 

診断は主に触診や細胞診で行います。

 

今回は一般的な脂肪腫ですが、大きくなってきたので切除した時の写真をお見せします。

 

10 x 15cmといったところです

脂肪腫といえど、中には筋肉の間に入り込む浸潤性脂肪腫や、悪性化した脂肪肉腫といったものもあります。

 

小さなしこりと思っても、炎症が原因のしこりだったり、実は悪性の腫瘍だったりすることもあります。

 

 

気になる皮膚の出来物はなるべく早めにご相談にいらしてください。

 

 

肝葉摘出(肝細胞癌)

犬(チワワ)12歳避妊雌

 

1年以上前から肝数値上昇があり、

超音波検査にて肝臓外側左葉の高エコー化が確認されており、

肝臓病変部位の細胞診にて、結節性過形成、高分化型肝細胞癌が疑われていました。

 

内科管理にて経過観察を行なっていましたが、肝数値は高値で推移していました。

精査のためCT検査が行われ、外側左葉全体と方形葉一部に腫瘤病変が確認されました。

 

肝臓外側左葉切除術と方形葉の一部切除術を計画し、手術を行いました。

術中所見にて、内側左葉にも病変部位を確認したため内側左葉切除術もあわせて行いました。

 

病理検査結果は外側左葉が肝細胞癌で、そのほかは結節性過形成との診断でした。

 

術後経過が良好で元気食欲も回復傾向です