ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

東洋眼虫症の一例

 

先日他院より、結膜上をうごめくものがあるとのことで紹介をいただいたわんちゃんです。

数ヶ月以上前より、結膜が赤く、目やにが多く、一般的な結膜炎の治療を行なっても改善が見られていないとのことでした。

 

点眼麻酔を施し、結膜周囲をくまなくみていると、写真のようにうごめく虫体が確認されました。東洋眼虫という、結膜嚢内にひそむ寄生虫になります。

温暖化に伴ってでしょうか?

最近ではこの東洋眼虫症を当院でも見る機会が増えてきている気がします。

 

この子は抗生物質の点眼と炎症を抑える点眼で、虫体を摘出してからどんどん改善し、1-2週間で結膜の炎症が取れてきました。

夜もよく寝ることができるようになったとのことです!

 

今症例のように、目が赤い、充血がひどい、目やにがひどい、など様子を見ても治らない場合はひどくなる前に早めに受診しましょう!

 

軟部組織肉腫のワンちゃんの一例

16歳の避妊済の犬。

左上腕皮膚の腫瘤を主訴に来院されました。

 

この子は副腎皮質機能亢進症の持病があり、腎臓の数値も高値であったため

全身麻酔のリスクが少し高い症例でした。

 

飼い主様と相談し、局所麻酔を用いて鎮静下で腫瘤切除を行いました。

病理検査結果は

「軟部組織肉腫(線維肉腫)」でした。

 

悪性の腫瘍のひとつですが、切除状態は良好で、

今回の切除で予後は良好であると考えられました。

 

高齢で病気が見つかると治療に対するリスクにより

治療を断念してしまうことがありますが、

その中で、飼い主様と相談し、できる治療を考えてくことが大切だと感じています。

ご不明なこと、不安なことがありましたら、ぜひご相談ください。

足根関節脱臼のわんちゃんの一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠

 

膝の上から飛び降りたパピヨンちゃんが来院されました。

足根関節の脱臼(距骨の後方脱臼)、腓骨骨折でした。

外側側伏靭帯の損傷が認められたため、アンカースクリューによる関節制動術を行いました。

 

術後もしばらくはギプス固定が必要です。

 

痛みと関節の腫脹があり、足が着けない様子でしたが、退院後はギプスをうまく使い歩いていました。

 

 

核硬化症のわんちゃん

 

 

目が白く見える、と来院された9歳トイプードルちゃん。

 

一般的な身体検査では特に異常みられず。

 

目を散瞳させて検査を実施しました。

(中央部やや右側の白いのは光の反射です。)

 

ぼんやりと中央から全体にかけて、丸く白濁しているように見えます。

これは白内障ではなく、核硬化症と呼ばれるものになります。

 

核硬化症とは、水晶体が加齢とともに白濁を起こす水晶体の変化です。

 

水晶体の上皮細胞から持続的に作られる繊維が、水晶体核と呼ばれる中央部に年輪のように圧迫されることで白濁が起こります。

一般的に中年齢から起こり始める病態で、なんとなく目が白っぽくなってきた、ということで気づかれることが多いです。

似たような病気として、白内障があります。

 

核硬化症は加齢性の変化であり、治療は不必要です。

進行は徐々にするものですが、視覚を失うことはありません

散瞳させて検査をした時に、白内障がみつかるケースもあります。その場合には、白内障に対して程度に応じた治療が必要になることもあります。

 

今回のわんちゃんを飼われている飼い主様のように、見た目が白くても、白内障なのか核硬化症なのかわからない場合は多いです。

私たちでも肉眼ではわからないことも多々あります。

このように散瞳させて、暗いところでしっかり拡大鏡を用いて検査することで白内障などは初めて除外できます。

目の病気は進行が早いことがあります。

気になる症状がある場合は早めにご相談いらしてください。

マダニによる咬傷のわんちゃん

8歳の去勢雄の犬。

 

気づいたら右の内股に虫のようなものがついているとのことで来院されました。

マダニでした。

いつもは月1回のノミダニの予防薬を使用していましたが。

今月の分をたまたま忘れていたそうです。

 

病院では取り除く処置を行いますが、

この際、吸血している顎(口)の部分を残さないように丁寧に取り除く必要があります。

 

マダニは噛まれると皮膚炎になるだけでなく、貧血になったり

バベシア症といった感染症にかかる危険性や、

人獣共通感染症といって、動物も人間も感染する病気の原因にもなってしまいます。

(ライム病、日本紅斑熱SFTS(重症熱性血小板減少症群))

 

 

マダニの活動が活発な時期は春から秋にかけてですが、

1年中を通してマダニ感染の危険性は潜んでいますので、

 

予防を通年で行いましょう。

胆石症のわんちゃんの一例

 

胆石症は基本的に無症状の症例で治療は必要ないと言われています。

しかし、胆石の閉塞により、胆嚢側の胆管が拡張する場合は、外科的な治療が必要になります。

 

この子は胆石による細菌感染性の胆嚢炎を発症しており、GPT1000以上、GGT50、食欲不振を起こしていました。

内科治療により状態が良くなったものの、再発の可能性があるため、胆嚢摘出術を行いました。

 

術後の経過は良好です。

 

角膜穿孔に対して結膜フラップを行った症例

 

今回は角膜が穿孔してしまったわんちゃんです。

 

 

当初、診察時は眼の痛みが強く、顔まわりを触られるのを極端に嫌がっていました。

 

眼の中の眼房水も流出して、眼の周りも毛が濡れていました。

 

よく見ると角膜に穴が開いています。

 

今症例に対しては、穿孔した部位の保護、治癒促進のため、結膜フラップ術を実施しました。

 

穿孔部位の近くの結膜を切開し、移動して縫合しました。

 

今回は経過観察の途中で、フラップ部位が脱落してしまいましたが、

 

その時にはすでに角膜損傷は治癒されていました。

 

 

光を当てると、縫合した部位と傷があった部位には瘢痕が残っていますが、

 

もともとあった症状はなくなり、今では点眼もいらなくなっています。

 

目の上には目に見えない菌がたくさんいます。

 

すこし傷がついてしまい、治癒がなんらかの影響で遅れてしまうとどんどん角膜が溶けて穴が開いていくこともあります。

 

目の病気の進行は早いです。

 

目周りで気になる症状がある際には早めに病院へご相談ください。