ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

乳腺腫瘍

症例は3歳、避妊メスのパピヨンです。

第2乳腺辺りにできものが認められるという事で来院されました。

細胞診を実施したところ、乳腺癌が疑わしいという結果でした。

本来、乳腺腫瘍は細胞診では良性と悪性の鑑別は困難な腫瘍の一つであり、病理組織検査にて確定診断を下す腫瘍となります。ただ、乳腺腫瘍の切除方法には多くの術式が存在する為、細胞診の所見を一つの術式決定の判断材料としています。

 

本症例は約8mm程の小腫瘤でしたが、細胞診での悪性所見が認められた為、第1-3乳腺の領域切除を実施しました。病理組織検査でも、乳腺癌という結果であり、転移所見は認められておりません。

乳腺部の腫瘤でも、乳腺腫瘍以外の悪性腫瘍を認める場合もありますし、早期の避妊手術を実施していても乳腺部に腫瘤を認めることが稀にある為、気になる事がありましたらいつでもご相談ください。

 

猫の口腔外科

猫の口腔外科

 

13歳、元野良猫で外に出る子

主訴は、猫が外から帰ってきたら口から出血とよだれが止まらない、食欲がいつもよりないとのこと。

 

診察室でよく見ると、左下顎の門歯から犬歯の後ろまで歯肉が裂傷していました。左上顎犬歯も歯折していました。

このようなケースは事故や外傷、他の猫との喧嘩などで起こりえます。

手術実施のためには感染をコントロールしなければ癒合不全などが起こり得るため、手術日まで毎日洗浄消毒をして手術に臨みました。

 

手術は、歯折した左上顎犬歯の抜歯と左下顎犬歯と不良肉芽の除去を行い、フラップ形成を行いました

↑術前の口の様子です

 

実際の手術は、歯折した左上顎犬歯の抜歯と左下顎犬歯と不良肉芽の除去を行い、フラップ形成を行いました

 

 

↑約2週間後の口の様子です。まだ縫合糸のところに毛と歯垢の塊ができていますが、歯肉はかなりくっついていました。上顎犬歯部分も離開はないです。

↑術後3週間後、だいぶ毛の塊は無くなって歯肉で塞がってきてます。

↑術後6週間後、縫合糸も吸収され、正常な歯肉が形成されました。

↑正面からの見た外見です。少し左の口角は上がってますがほとんど負傷前と変わらない外見に戻りました。自力採食もできています。

 

 

 抉出(けっしゅつ、軟部組織の剥離のこと)といい、事故や外傷、他の猫との喧嘩などで起こりえます。

 

受傷から経過が短ければ良いですが、時間が経過してしまうと肉芽組織が次第に形成されていき手術で全ての肉芽組織を取り除くことが難しくなってきます。不良肉芽や感染がうまくコントロールできていないと、癒合不全や創傷遅延を起こしてしまいます。

 

このような場合は、お家で様子を見ずに早めに病院へご相談ください。

 

消化管間質腫瘍(GIST)の一例

 

犬(コーギー)10歳去勢雄

 

来院時の主訴はGISTとは全く関係のない目の羞明と充血でした。

目の症状は角膜びらんによるものでしたが、麻酔下での処置が必要であったため、術前検査でレントゲンを撮影したところ

 

空腸に約5×4センチの腫瘍が確認されました。

かなり大きい腫瘍ですが、この時点で嘔吐や食欲不振などの消化器症状は一切なく、一般状態は良好で体重減少もありませんでした。血液検査でも軽度貧血以外には異常がなく、レントゲンやエコー検査を実施しないと腫瘍が発見できない症例でした。

 

転移の有無、腫瘍の位置の正確な把握のためCT、腫瘍の種類の特定のため針生検を実施しました。

幸いにも転移の所見はなく、細胞診では平滑筋由来の腫瘍または消化管間質腫瘍(GIST)の疑いとの結果でした。

上記の腫瘍では外科手術が第一選択となるため、小腸端々吻合術を実施しました。

 

かなり大きい腫瘍でしたので、腫瘍細胞を取り残さないように肉眼的に正常にみえる小腸を腫瘍から5センチ程確保して切除しました。

切除後の小腸です。

 

 

腸間膜の穴を縫って閉腹しました。

病理組織結果は、消化管間質腫瘍(GIST)。

摘出状況は良好で、術後2週間程で貧血も改善しました。

 

 

多くの消化器に発生する腫瘍は内腔にせり出す形で大きくなることにより通過障害を起こし、嘔吐や食欲不振等の症状が現れますが、GISTは内腔とは反対側に向かって大きくなることが多く、臨床症状が現れにくく、気づきにくい腫瘍です。

このような腫瘍を早期発見するためには中年齢以上のわんちゃん猫ちゃんは健康診断が非常に重要です。定期的に健康診断を受けていただくことをお勧めします!

 

 

前十字靱帯断裂に対してTPLO手術を実施した一例

 

 

こんにちは。ふなばし動物医療センターです。

 

今回は、犬でよくみられる整形外科疾患である前十字靱帯断裂に対して、TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)を実施した症例をご紹介します。

 

「急に後ろ足を上げるようになった」「びっこを引く」「散歩を嫌がる」「立ち上がる時に痛そうにする」などの症状は、前十字靱帯断裂が原因かもしれません。

 

同じような症状でお困りの飼い主様の参考になれば幸いです。

 

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前十字靱帯断裂とは?

 

前十字靱帯は、大腿骨と脛骨をつなぎ、脛骨が前方へずれることを防ぐことで膝関節を安定させる重要な靱帯です。

 

人ではスポーツ中のケガとして知られていますが、犬では事情が異なります。

 

犬の前十字靱帯断裂の多くは、加齢による靱帯の変性や体質、肥満、膝への負担の蓄積などによって少しずつ靱帯が弱くなり、日常生活の中で断裂してしまう「慢性断裂」です。

 

そのため、激しい運動をしていなくても発症することがあり、犬種を問わずみられる病気です。

 

また、小型犬では膝蓋骨脱臼を伴うことも多く、大型犬や肥満傾向のある犬では特に発症しやすいことが知られています。

 

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このような症状はありませんか?

 

前十字靱帯断裂では次のような症状がみられます。

 

  • 急に後ろ足を上げるようになった
  • びっこを引いて歩く
  • 散歩を嫌がる
  • 立ち上がる時に時間がかかる
  • お座りすると足が横に流れる
  • 後ろ足を触ると痛がる
  • 後ろ足だけケンケンすることがある

 

このような症状がみられる場合は、早めの受診をおすすめします。

 

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症例紹介

 

5歳 トイプードル 4.5kg

 

来院時の様子

 

5日前から左後肢の跛行を認め、散歩中も足を着きたがらないとのことで来院されました。

 

身体検査および整形外科的検査では膝関節に疼痛が認められ、前十字靱帯断裂が疑われました。

 

レントゲン検査では関節液の増加や関節の炎症を示唆する所見が認められ、総合的に前十字靱帯断裂と診断しました。

 

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診断で大切な「関節鏡検査」

 

前十字靱帯断裂では、歩き方や触診、レントゲン検査を組み合わせて診断を行います。

 

しかし、前十字靱帯が完全に断裂していない場合(部分断裂)では、触診だけでは断裂の有無を判断することが難しいケースも少なくありません。

 

また、レントゲン検査では関節液の増加や骨の変化は確認できますが、前十字靱帯そのものを直接評価することはできません。

 

そのため当院では、手術時に関節鏡(内視鏡)を用いて膝関節内を詳しく観察し、前十字靱帯の損傷の程度や半月板損傷の有無を確認しています。

 

関節鏡は数mm程度の小さな傷からカメラを挿入し、膝関節内を拡大して観察することができます。

 

特に半月板損傷は強い痛みの原因となるため、損傷が認められた場合には同時に処置を行うことで、術後の痛みの軽減や良好な回復につながります。

 

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TPLO手術を選択した理由

 

前十字靱帯は、一度完全に断裂すると自然に元通りになることはありません。

 

そのため、活動性や体格、年齢、脛骨高平部角(TPA)などを総合的に評価し、今回はTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)を選択しました。

 

TPLOは脛骨の角度を矯正することで、前十字靱帯がなくても膝関節を力学的に安定させる手術です。

 

現在では世界中で広く行われており、

 

  • 良好な歩行機能の回復
  • 早期の荷重開始
  • 関節への負担軽減
  • 変形性関節症の進行抑制

 

が期待できる術式です。

 

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手術

 

全身麻酔下で関節鏡検査を実施しました。

 

関節鏡では前十字靱帯の完全断裂を確認し、さらに半月板の状態を詳細に評価しました。

 

その後、TPLOを実施しました。

 

専用の器具を用いて脛骨を骨切りし、脛骨高平部角を適切な角度まで矯正した後、専用プレートとスクリューで固定しました。

 

手術は問題なく終了し、麻酔からの覚醒も良好でした。

 

 

 

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術後経過

 

術後は疼痛管理を行いながら歩行を開始しました。

 

退院後は運動制限を行い、定期的にレントゲン検査で骨の治癒を確認しました。

 

術後2週間では患肢への荷重も改善し、術後1か月では日常生活に支障なく歩行できるまで回復しました。

 

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前十字靱帯断裂は早期診断・早期治療が大切です

 

前十字靱帯断裂は放置すると、関節炎や変形性関節症、半月板損傷などを引き起こし、痛みや歩行障害が徐々に悪化していく病気です。

 

また、慢性的な前十字靱帯断裂では、数年以内に反対側の膝も発症するケースが少なくないことが知られています。

 

そのため、「少し様子を見よう」と考えず、早めに診察を受けることが大切です。

 

当院では、整形外科的検査から関節鏡による詳細な評価、TPLO・TTAなどの整形外科手術、術後管理まで一貫して対応しております。

 

愛犬の歩き方や足の使い方に違和感を感じた際は、お気軽に当院までご相談ください。

 

左前腕部の肉腫に対する断脚術

13歳チワワ避妊雌

 

左前肢の腫脹を主訴に来院されました。その際、痛みはなく、歩行状態も正常でした。

腫脹部位は左前腕部(橈骨尺骨骨幹の軟部組織)で、レントゲン検査にて骨浸潤所見は得られませんでした。

感染性病変の可能性と腫瘍性病変の可能性が考えられましたのでその時点で細菌培養検査と細胞診検査のための針生検を行いました。

 

培養検査では細菌は生えず、細胞診検査では「軟部組織肉腫を疑う」という結果でした。

 

外科療法が第一選択と考えられましたので、術式決定のためCT検査とパンチ生検を行いました。

病理検査の結果は「肉腫」で、CT検査にて骨浸潤を疑う所見が認められたため、

飼い主様と相談の上、左前肢断脚術を行うことにしました。切除時には左腋窩リンパ節も合わせて摘出いたしました。

 

 

病理検査の結果は「肉腫」で左腋窩リンパ節には転移は見られませんでした。

 

四肢の腫瘍は、その大きさや浸潤の程度、悪性度により断脚の必要性が生じます。

ご家族にとっては受け入れにくく辛い選択になるかと思いますが、

病院としてご家族がよりよく過ごしていけるよう精一杯サポートしてまいります。

 

今回の症例では、手術後すぐから元気いっぱいで

 

 

3本の足で上手に歩き、楽しそうに過ごしています。

 

左右尿管結石による水腎症について左右尿管膀胱新吻合部を行った猫

 

 

9歳雄猫、初診時、他院から腎盂の拡張が軽度にあるが原因不明との事で来院。本人は食欲元気なしでした。

エコーレントゲンにて膀胱近くの尿管に結石があり腎盂が軽度に拡張していました。

 

腎盂の拡張は、尿管の動きが悪くなり、膀胱に尿が行かなくなり、腎臓に尿が溜まってしまう事でおきます。尿が作られるのに、膀胱にいけなので腎臓にどんどん尿が溜まり、腎臓が悪くなってしまいます。原因は、尿管の石、血餅だったり、尿管の炎症だったり、慢性腎臓病によるものであったり、様々ですが、原因により治療が変わります。

この猫ちゃんは腎臓にあった石が尿管に流れてしまい、膀胱の近くで止まってしまったため、尿管結石になってしまいました。

尿管結石は人間では痛みの症状が出ますが、猫ちゃんにおいては喋れないので、なんとなく元気がない食欲がない、健康診断してみたら尿管結石だったとなるケースが多いです。

 

この猫ちゃんは初診時は軽度の腎盂拡張、膀胱近くまで石が落ちてたため、内科治療を選択しましたが、5日たっても膀胱に落ちない、水腎化が起きたため手術になりました。

 

実は膀胱近くの尿管は1番細い場所になっており、1番詰まりやすい場所です。

 

尿管開口部をなるべく広く取って、膀胱に縫合しました。

 

この子は両側同じようになってしまったので、両側を新吻合しています。





 

術後は次第に元気食欲が出てきました。

腎臓の数値は少し悪いですが(ステージ2)維持しております。

 

皮下にできた軟部組織肉腫を摘出した犬の一例

 

 

症例は14歳、トイ・プードル、避妊雌

 

臀部に何かしこりのようなものがあるとの主訴で来院しました。

確認してみると尻尾に付け根部分に3-4cm大の腫瘤が確認できました。

 

細胞診検査を実施したところ、軟部組織肉腫の疑いとの結果だったため、

外科手術のによる摘出を実施しました。

 

皮膚ではなくその下の皮下組織に腫瘤があったため、筋肉に一部固着しているような状態でした。

そのため、筋肉の膜(筋膜)も一緒に切除しました。

 

 



病理検査の結果、腫瘍は軟部組織肉腫の中でも低悪性度に分類される血管周皮腫でした。

摘出状態は良好との結果でした。