ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

猫ちゃんの爪刺さりによるパッドの損傷

猫ちゃんの爪切りは定期的に行いましょう。 先日、指のどこかから出血しているという症状で猫ちゃんが来院されました。 指を触ると怒るので、飼い主さんは爪切りはおこなっていませんが、自分で爪を研ぐ猫ちゃんでした。 毎日爪を研ぐ猫ちゃんでも、爪が伸び…

猫の直腸腺癌における手術と抗がん剤で寛解した一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回は猫ちゃんの直腸に発生した悪性腫瘍(直腸腺癌)を手術と術後の抗がん剤で緩解維持できてる症例についてお話しします。 高齢猫ちゃんが排便困難を主訴に来院。 触診にて多量の糞便の貯留を確認…

高齢の未去勢オスのわんちゃんに見られたセミノーマ

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 症例は10歳、ゴールデンレトリーバー、未去勢。 健康診断を目的として当院を来院されました。 一般状態は健康でしたが、左右の大きさの違う精巣が触知されました。 精巣はこのように腫大していたり…

横隔膜ヘルニアの猫ちゃん

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 野良猫ちゃんを保護したとの事で、来院した猫ちゃんが横隔膜ヘルニアでした。 安静時の呼吸は正常でしたが、横に倒したり、激しい運動をすると呼吸が早くなるという症状がありました。 横隔膜ヘルニ…

脛骨粗面剥離骨折の犬の1例

今回の症例は生後約6ヶ月のワンちゃん。 左後肢の脛骨粗面の剥離骨折で来院されました。 レントゲン検査にて、右の後肢と比べると、左後肢の脛骨粗面の近位の変位が確認できます。 正常な右後肢 脛骨粗面が骨折した左後肢 この部位の骨折は、生後10ヶ月以下…

指の皮膚にできたメラノサイトーマ(皮膚黒色腫)

今回は、後肢の指の皮膚にできた腫瘤の紹介です。 中年齢のミニチュア・シュナウザーの子で右後肢の第3指に黒色の腫瘤が見られて精査を主訴に来院されました。 検査を目的に外科的切除しました。(切除生検) 結果はメラノサイトーマ(皮膚黒色腫)でした。…

角膜損傷の原因が東洋眼虫だった1例

潰瘍性角膜炎とは眼の表面にある角膜が物理的な刺激などによって損傷した状態です。損傷の深さによって、角膜裂傷、角膜びらん、角膜潰瘍、デスメ膜瘤、角膜穿孔と病名が異なり、治療法も異なります。特に角膜びらんより深い損傷になった場合、麻酔をかけた…

尺骨の成長板早期閉鎖に対して尺骨骨切り術を実施した犬の1例

症例は、7ヶ月、避妊メスのミニチュア・ダックスフンドです。 右前足の破行を主訴に来院されました。 レントゲン検査にて、尺骨成長板の早期閉鎖が認められました。 これにより、橈骨と尺骨長の不均衡が生じ、肘関節腔の拡大を伴う事で破行が生じたものと思…

白内障手術を受けたわんちゃん

10歳のトイプードルとヨークシャーテリアのMIXの男の子。 以前から両目共に白内障があり、手術を行うほどは進行していなかったため、点眼治療を行っていました。 ここ最近になり、徐々に進行が認められ、左目が未熟期から成熟期の白内障となったため、白内障…

脾臓血管肉腫の犬の一例

今回は脾臓血管肉腫に対して脾臓摘出術を行なった子についてお話しします。 10歳のゴールデンレトリーバーの女の子。 最近、どことなく元気がなく、えずく様子が見られたという主訴で来院されました。 血液検査にてCRPの上昇が認められたため、追加で腹部超…

歯肉口内炎に対して下顎臼歯抜歯を行った猫ちゃん

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回の症例は8歳の猫ちゃんで、食欲の低下を主訴に来院されました。猫の歯肉口内炎は、歯肉と口腔粘膜に炎症を起こす原因不明の病気です。歯垢や歯石、細菌に対するアレルギー反応とも言われていま…

両側の会陰ヘルニアの犬の1例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回の症例は9歳雄の雑種のわんちゃんです。 便の出が悪くなってきたとのことで来院されました。 身体検査をしてみると、肛門の脇が膨らんでおり、直腸検査などから「会陰ヘルニア」と診断しました…

子宮蓄膿症の猫の一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 2.3日前からの食欲低下、陰部からの排膿を主訴に来院されました。 血液検査で白血球数の重度減少、エコー検査で子宮内に膿を確認。 以上の所見から、細菌感染による白血球消費亢進を伴った「子宮蓄…

肝臓腫瘍に対して肝葉切除手術を行なったジャックラッセルテリアちゃん

10歳のジャックラッセルテリアの女の子。 もともとの内分泌疾患があり、 定期的に血液検査を行なっていました。 その子に食欲不振が見られたため、腹部の超音波検査を行いました。 そこで、肝臓の左葉に6cm大の腫瘤を確認しました。 さらなる精査のため、CT…

尿管結石摘出を行った猫ちゃん

皆様こんにちは。 今回は、健康診断プレミアムコースにて、左の尿管結石が認められた猫ちゃんです。レントゲンでは後腹膜エリアに結石の陰影が確認され、超音波検査では腎臓の腎盂が拡張しており、尿管結石による尿路閉塞で水腎症になっていました。 血液検…

膀胱結石の猫の一例 

今回の症例は、7歳の雑種猫ちゃん(避妊雌)。 血尿が続いており、トイレで排尿姿勢をとるが、なかなか尿が出ないとのことで来院。 膀胱のエコー検査を行ってみると、膀胱内にシャドーを引く白い塊が確認されました。 レントゲン検査において、多数の結石が…

1歳チワワちゃんの大腿骨頭壊死症 (レッグペルテス症)

チワワ、1歳、未避妊メスの症例。後肢の挙上を主訴として来院されました。 後肢の伸展時の痛み及び、右後肢の筋量が反対側の肢と比べて脆弱化しているのを認めました。 院内での歩様では、患肢への負重は認められませんでした。 左右の膝蓋骨の脱臼は認めず…

持続する肝酵素上昇の子に肝生検を実施し、内科治療の変更で改善した一例

こんにちは、今回は肝臓病の症例についてお話しします。 初めに、、、 肝臓とは体に必要な蛋白や糖などを作り、体に有害な毒性物質などを分解する臓器で、体にとってとても重要な臓器です。 肝臓がなんらかの理由で障害が受けた時に血液検査で肝酵素(ALT、A…

腸切開により異物摘出を行った猫ちゃん

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 数日前から続く嘔吐と食欲不振を主訴に来院しました。 超音波検査で腹部を確認すると、小腸の一部分に何か異物があるのが確認できました。 そのせいで胃や十二指腸に液体貯留所見(消化管の流れが悪…

生後7ヶ月のチワワちゃん チェリーアイ(瞬膜腺脱出)

先日7ヶ月齢のチワワちゃんが、眼の腫れを主訴に来院されました。 これは瞬膜腺が脱出した状態、いわゆるチェリーアイという病気です。 瞬膜腺と眼窩周囲組織の間を結合している繊維束が脆弱化することで発症すると考えられています。 似たような症状で、瞬…

歯肉炎と歯周病について

こんにちは。 今回は歯周病について紹介したいと思います。 歯周病には、歯周ケアをすることで改善する歯肉炎と 一般的な歯周ケアでは改善しない歯周炎というものがあります。 歯周炎は、歯肉だけではなく歯肉周囲の骨などに病変が広がったもので、 治療とし…

2ヶ月齢の子犬のジアルジア症

2ヶ月齢の子犬ちゃんで、軟便や下痢 を主訴に来院された症例です。 糞便検査にて原虫が確認されました。 (見づらくて申し訳ありません) この原虫はジアルジアというもので、一般的に小腸に寄生しています。特に子犬ではしばしば感染が認められることがあり…

犬の多中心型リンパ腫について

こんにちは。 今回は犬の多中心型リンパ腫について少しお話ししたいと思います。 「多中心型リンパ腫」は、リンパ球が異常に増殖するリンパ腫という病気のひとつで、 体表のリンパ節が腫脹してくることで発見され来院されることの多い病気です。 ゴールデン…

1歳ミニチュア・ピンシャーの大腿骨頭壊死症

⚠⚠手術関連の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠今回の症例は、1週間前から右後肢をかばって歩くようになったという、1歳のミニチュア・ピンシャーの男の子。 他院にて痛み止めを処方されましたが、改善せずセカンドオピニオンとして当院に来院…

内科療法で良好な反応が認められた7歳トイプードルの胆嚢粘液嚢腫

7歳去勢オスのトイプードルちゃん。 突然の食欲廃絶と元気消失で来院されました。 血液検査を行ったところ、重度の胆肝障害が生じている事がわかりました。 腹部超音波検査を行うと、胆嚢内に以下の様な所見が認められました。 写真① これは胆嚢粘液嚢腫とい…

上腕骨の骨折の生後9ヶ月の猫ちゃん

今回は事故により左上腕骨の骨折で来院された生後9ヶ月の猫ちゃんをご紹介します。 レントゲン検査にて、左上腕骨近位の成長板骨折が確認できました。 今回はピンとワイヤーを用いて整復手術を行いました。 術後直後のレントゲン写真です。 術後2ヶ月半後の…

コクシジウム症の若齢猫ちゃん

3ヶ月齢のアビシニアンの猫ちゃん。間欠的な軟便を主訴として来院されました。 元気や食欲は良好で一般状態も問題無しです。 採便を行い採取した便を顕微鏡で観察すると。。。。 コクシジウムという寄生虫の虫卵が見つかりました。 コクシジウムとは感染した…

皮膚に寄生したマダニ

先日、マダニが寄生したわんちゃんが来院されました。 マダニは寄生することにより、動物は貧血を起こしたり、様々な病気を伝播させます。 マダニ媒介性の疾病には、犬のバベシア症、人のライム病、人の重症熱性血小板減少症候群、など場合によっては重要か…

リウマチ性関節炎のミニチュアダックスフンド

今回の症例は、8歳齢のマルチーズの男の子です。 前肢の手首にあたる手根関節というところが徐々に外側へ曲がってきて、ベタ足になっているとのことで来院しました。 直角に曲がった手首や踵がベタッと地面につくことを「ベタ足」と言います。 以下の写真は…

僧帽弁閉鎖不全症から肺水腫を経験したが長期生存したワンちゃん

「僧帽弁閉鎖不全症」とは、左心房と左心室の間にある僧帽弁が変性することで、逆流が生じてしまう状態のことを指します。 病態の進行に伴い、心臓はうっ血し更に悪化すると「肺水腫」という状態となり命の危険が生じます。 肺水腫とは、うっ血した心臓を原…