ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

東洋眼虫症の一例

先日他院より、結膜上をうごめくものがあるとのことで紹介をいただいたわんちゃんです。 数ヶ月以上前より、結膜が赤く、目やにが多く、一般的な結膜炎の治療を行なっても改善が見られていないとのことでした。 点眼麻酔を施し、結膜周囲をくまなくみている…

軟部組織肉腫のワンちゃんの一例

16歳の避妊済の犬。 左上腕皮膚の腫瘤を主訴に来院されました。 この子は副腎皮質機能亢進症の持病があり、腎臓の数値も高値であったため 全身麻酔のリスクが少し高い症例でした。 飼い主様と相談し、局所麻酔を用いて鎮静下で腫瘤切除を行いました。 病理検…

足根関節脱臼のわんちゃんの一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 膝の上から飛び降りたパピヨンちゃんが来院されました。 足根関節の脱臼(距骨の後方脱臼)、腓骨骨折でした。 外側側伏靭帯の損傷が認められたため、アンカースクリューによる関節制動術を行いまし…

核硬化症のわんちゃん

目が白く見える、と来院された9歳トイプードルちゃん。 一般的な身体検査では特に異常みられず。 目を散瞳させて検査を実施しました。 (中央部やや右側の白いのは光の反射です。) ぼんやりと中央から全体にかけて、丸く白濁しているように見えます。 これ…

マダニによる咬傷のわんちゃん

8歳の去勢雄の犬。 気づいたら右の内股に虫のようなものがついているとのことで来院されました。 マダニでした。 いつもは月1回のノミダニの予防薬を使用していましたが。 今月の分をたまたま忘れていたそうです。 病院では取り除く処置を行いますが、 この…

胆石症のわんちゃんの一例

胆石症は基本的に無症状の症例で治療は必要ないと言われています。 しかし、胆石の閉塞により、胆嚢側の胆管が拡張する場合は、外科的な治療が必要になります。 この子は胆石による細菌感染性の胆嚢炎を発症しており、GPT1000以上、GGT50、食欲不振を起こし…

角膜穿孔に対して結膜フラップを行った症例

今回は角膜が穿孔してしまったわんちゃんです。 当初、診察時は眼の痛みが強く、顔まわりを触られるのを極端に嫌がっていました。 眼の中の眼房水も流出して、眼の周りも毛が濡れていました。 よく見ると角膜に穴が開いています。 今症例に対しては、穿孔し…

扁平上皮癌のわんちゃんの一例

口唇にできた扁平上皮癌の症例です。 最近皮膚をよく掻く、唇から軽度の出血があるとの主訴で来院。 病変は口唇部に限局していますが、自壊していました。 病理検査の結果、扁平上皮癌と診断されました。 扁平上皮癌とは、犬の口腔内に発生する悪性腫瘍のう…

臍ヘルニアのわんちゃんの一例

先日、おへその部分が腫れているワンちゃんが来院されました。 触診してみると、ちょうどおへその部分の腹壁に穴が空いておりました。 相談の上、外科手術をすることになりました。 おへその腫れは、腹壁の穴から脂肪が飛び出てしまっていた脂肪でした。 空…

腹腔内出血で来院したわんちゃんの1例

シニアのMIX犬 元気食欲低下で来院、触診で可視粘膜の蒼白が見られました。 血液検査では再生性貧血、低タンパク結晶。 腹部レントゲン検査で腹腔内に巨大な腫瘤が認められ、腹部エコー検査にて脾臓発生の腫瘤と判明しました。また、同時に腹水の貯留も確認…

角膜穿孔に対して結膜フラップを行った症例

今回は角膜が穿孔してしまったわんちゃんです。 当初、診察時は眼の痛みが強く、顔まわりを触られるのを極端に嫌がっていました。 眼の中の眼房水も流出して、眼の周りも毛が濡れていました。 ↓よく見ると角膜に穴が開いています。 今症例に対しては、穿孔し…

口腔内腫瘤が見つかったわんちゃん

定期的な診察にいらした高齢なわんちゃんになりますが、 全身の身体検査を行なっていたところ口の中に腫瘤性病変が認められました。 出来物のほとんどは内側の為、飼い主様も気づいておりませんでした。 口の中の腫瘤には、悪性黒色種(メラノーマ)、扁平上…

角膜潰瘍の犬の1例

今回は角膜潰瘍を罹患してしまった子についてお話しします。 11歳のビションフリーゼの女の子で、右目をしょぼしょぼすると主訴で来院されました。 こちらが初診時の様子です。 (上の写真はフローレス検査時の様子です。) 右目に広範囲の角膜潰瘍と結膜浮…

竹串を誤食してしまったわんちゃん

先日焼き鳥を串ごと盗み食いしてしまったワンちゃんが他院からの紹介で来院されました。 食べてしまってから数日後に、食欲元気の低下とお腹を触られるのを嫌がるということで、見てみると脇腹がぽっこり腫れていました。 超音波で確認してみると、、 竹串が…

流涙症(涙やけ)に対する鼻涙管洗浄について

目から出る涙の量が多くなり、目頭周囲が常に濡れていたり、毛が変色することを流涙症(涙やけ)と言います。 通常、涙は眼の涙点から鼻に通っている鼻涙管という細い管を通り排泄されます。 流涙症の原因は様々ですが、大きく分けると、① 涙の分泌量が何か…

胆嚢粘液嚢腫に対して胆嚢摘出術を行った犬の一例

今回は胆嚢粘液嚢腫についてお話しします。 胆嚢粘液嚢腫とは、中年齢から高年齢に発症し、胆嚢内にゼリー状のムチンが多量に蓄積する病態です。過剰に蓄積した粘液物質が胆嚢壁を圧迫し、胆嚢破裂を起こす可能性があります。重篤な胆汁性腹膜炎を引き起こす…

口腔鼻腔瘻の治療として抜歯術を行った犬の一例

口腔鼻腔瘻のミニチュアダックスの症例についてお話します。 鼻水とくしゃみが止まらないことを主訴で来院。 その子は重度歯周炎があり、歯周炎が原因で上顎骨の一部が溶け、口と鼻がつながる口腔鼻腔瘻が原因と考えられました。 そこで、抗生剤の内科治療に…

上腕骨遠位端骨折の犬の一例

症例は4か月齢、ゴールデンレトリーバーの女の子です。 階段から落ちたという主訴で来院されました。 レントゲンを撮ると右前肢の上腕骨遠位端骨折でした。 上腕骨の遠位端は若齢犬の骨折の好発部位となっています。若齢犬の骨には成長板という、骨の成長に…

高齢の未去勢オスのわんちゃんに見られたセミノーマ

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 症例は10歳、ゴールデンレトリーバー、未去勢。 健康診断を目的として当院を来院されました。 一般状態は健康でしたが、左右の大きさの違う精巣が触知されました。 精巣はこのように腫大していたり…

脛骨粗面剥離骨折の犬の1例

今回の症例は生後約6ヶ月のワンちゃん。 左後肢の脛骨粗面の剥離骨折で来院されました。 レントゲン検査にて、右の後肢と比べると、左後肢の脛骨粗面の近位の変位が確認できます。 正常な右後肢 脛骨粗面が骨折した左後肢 この部位の骨折は、生後10ヶ月以下…

指の皮膚にできたメラノサイトーマ(皮膚黒色腫)

今回は、後肢の指の皮膚にできた腫瘤の紹介です。 中年齢のミニチュア・シュナウザーの子で右後肢の第3指に黒色の腫瘤が見られて精査を主訴に来院されました。 検査を目的に外科的切除しました。(切除生検) 結果はメラノサイトーマ(皮膚黒色腫)でした。…

角膜損傷の原因が東洋眼虫だった1例

潰瘍性角膜炎とは眼の表面にある角膜が物理的な刺激などによって損傷した状態です。損傷の深さによって、角膜裂傷、角膜びらん、角膜潰瘍、デスメ膜瘤、角膜穿孔と病名が異なり、治療法も異なります。特に角膜びらんより深い損傷になった場合、麻酔をかけた…

尺骨の成長板早期閉鎖に対して尺骨骨切り術を実施した犬の1例

症例は、7ヶ月、避妊メスのミニチュア・ダックスフンドです。 右前足の破行を主訴に来院されました。 レントゲン検査にて、尺骨成長板の早期閉鎖が認められました。 これにより、橈骨と尺骨長の不均衡が生じ、肘関節腔の拡大を伴う事で破行が生じたものと思…

白内障手術を受けたわんちゃん

10歳のトイプードルとヨークシャーテリアのMIXの男の子。 以前から両目共に白内障があり、手術を行うほどは進行していなかったため、点眼治療を行っていました。 ここ最近になり、徐々に進行が認められ、左目が未熟期から成熟期の白内障となったため、白内障…

両側の会陰ヘルニアの犬の1例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回の症例は9歳雄の雑種のわんちゃんです。 便の出が悪くなってきたとのことで来院されました。 身体検査をしてみると、肛門の脇が膨らんでおり、直腸検査などから「会陰ヘルニア」と診断しました…

肝臓腫瘍に対して肝葉切除手術を行なったジャックラッセルテリアちゃん

10歳のジャックラッセルテリアの女の子。 もともとの内分泌疾患があり、 定期的に血液検査を行なっていました。 その子に食欲不振が見られたため、腹部の超音波検査を行いました。 そこで、肝臓の左葉に6cm大の腫瘤を確認しました。 さらなる精査のため、CT…

1歳チワワちゃんの大腿骨頭壊死症 (レッグペルテス症)

チワワ、1歳、未避妊メスの症例。後肢の挙上を主訴として来院されました。 後肢の伸展時の痛み及び、右後肢の筋量が反対側の肢と比べて脆弱化しているのを認めました。 院内での歩様では、患肢への負重は認められませんでした。 左右の膝蓋骨の脱臼は認めず…

持続する肝酵素上昇の子に肝生検を実施し、内科治療の変更で改善した一例

こんにちは、今回は肝臓病の症例についてお話しします。 初めに、、、 肝臓とは体に必要な蛋白や糖などを作り、体に有害な毒性物質などを分解する臓器で、体にとってとても重要な臓器です。 肝臓がなんらかの理由で障害が受けた時に血液検査で肝酵素(ALT、A…

生後7ヶ月のチワワちゃん チェリーアイ(瞬膜腺脱出)

先日7ヶ月齢のチワワちゃんが、眼の腫れを主訴に来院されました。 これは瞬膜腺が脱出した状態、いわゆるチェリーアイという病気です。 瞬膜腺と眼窩周囲組織の間を結合している繊維束が脆弱化することで発症すると考えられています。 似たような症状で、瞬…

歯肉炎と歯周病について

こんにちは。 今回は歯周病について紹介したいと思います。 歯周病には、歯周ケアをすることで改善する歯肉炎と 一般的な歯周ケアでは改善しない歯周炎というものがあります。 歯周炎は、歯肉だけではなく歯肉周囲の骨などに病変が広がったもので、 治療とし…