ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

高齢の未去勢オスのわんちゃんに見られたセミノーマ

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 症例は10歳、ゴールデンレトリーバー、未去勢。 健康診断を目的として当院を来院されました。 一般状態は健康でしたが、左右の大きさの違う精巣が触知されました。 精巣はこのように腫大していたり…

脛骨粗面剥離骨折の犬の1例

今回の症例は生後約6ヶ月のワンちゃん。 左後肢の脛骨粗面の剥離骨折で来院されました。 レントゲン検査にて、右の後肢と比べると、左後肢の脛骨粗面の近位の変位が確認できます。 正常な右後肢 脛骨粗面が骨折した左後肢 この部位の骨折は、生後10ヶ月以下…

指の皮膚にできたメラノサイトーマ(皮膚黒色腫)

今回は、後肢の指の皮膚にできた腫瘤の紹介です。 中年齢のミニチュア・シュナウザーの子で右後肢の第3指に黒色の腫瘤が見られて精査を主訴に来院されました。 検査を目的に外科的切除しました。(切除生検) 結果はメラノサイトーマ(皮膚黒色腫)でした。…

角膜損傷の原因が東洋眼虫だった1例

潰瘍性角膜炎とは眼の表面にある角膜が物理的な刺激などによって損傷した状態です。損傷の深さによって、角膜裂傷、角膜びらん、角膜潰瘍、デスメ膜瘤、角膜穿孔と病名が異なり、治療法も異なります。特に角膜びらんより深い損傷になった場合、麻酔をかけた…

尺骨の成長板早期閉鎖に対して尺骨骨切り術を実施した犬の1例

症例は、7ヶ月、避妊メスのミニチュア・ダックスフンドです。 右前足の破行を主訴に来院されました。 レントゲン検査にて、尺骨成長板の早期閉鎖が認められました。 これにより、橈骨と尺骨長の不均衡が生じ、肘関節腔の拡大を伴う事で破行が生じたものと思…

白内障手術を受けたわんちゃん

10歳のトイプードルとヨークシャーテリアのMIXの男の子。 以前から両目共に白内障があり、手術を行うほどは進行していなかったため、点眼治療を行っていました。 ここ最近になり、徐々に進行が認められ、左目が未熟期から成熟期の白内障となったため、白内障…

両側の会陰ヘルニアの犬の1例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回の症例は9歳雄の雑種のわんちゃんです。 便の出が悪くなってきたとのことで来院されました。 身体検査をしてみると、肛門の脇が膨らんでおり、直腸検査などから「会陰ヘルニア」と診断しました…

肝臓腫瘍に対して肝葉切除手術を行なったジャックラッセルテリアちゃん

10歳のジャックラッセルテリアの女の子。 もともとの内分泌疾患があり、 定期的に血液検査を行なっていました。 その子に食欲不振が見られたため、腹部の超音波検査を行いました。 そこで、肝臓の左葉に6cm大の腫瘤を確認しました。 さらなる精査のため、CT…

1歳チワワちゃんの大腿骨頭壊死症 (レッグペルテス症)

チワワ、1歳、未避妊メスの症例。後肢の挙上を主訴として来院されました。 後肢の伸展時の痛み及び、右後肢の筋量が反対側の肢と比べて脆弱化しているのを認めました。 院内での歩様では、患肢への負重は認められませんでした。 左右の膝蓋骨の脱臼は認めず…

持続する肝酵素上昇の子に肝生検を実施し、内科治療の変更で改善した一例

こんにちは、今回は肝臓病の症例についてお話しします。 初めに、、、 肝臓とは体に必要な蛋白や糖などを作り、体に有害な毒性物質などを分解する臓器で、体にとってとても重要な臓器です。 肝臓がなんらかの理由で障害が受けた時に血液検査で肝酵素(ALT、A…

生後7ヶ月のチワワちゃん チェリーアイ(瞬膜腺脱出)

先日7ヶ月齢のチワワちゃんが、眼の腫れを主訴に来院されました。 これは瞬膜腺が脱出した状態、いわゆるチェリーアイという病気です。 瞬膜腺と眼窩周囲組織の間を結合している繊維束が脆弱化することで発症すると考えられています。 似たような症状で、瞬…

歯肉炎と歯周病について

こんにちは。 今回は歯周病について紹介したいと思います。 歯周病には、歯周ケアをすることで改善する歯肉炎と 一般的な歯周ケアでは改善しない歯周炎というものがあります。 歯周炎は、歯肉だけではなく歯肉周囲の骨などに病変が広がったもので、 治療とし…

2ヶ月齢の子犬のジアルジア症

2ヶ月齢の子犬ちゃんで、軟便や下痢 を主訴に来院された症例です。 糞便検査にて原虫が確認されました。 (見づらくて申し訳ありません) この原虫はジアルジアというもので、一般的に小腸に寄生しています。特に子犬ではしばしば感染が認められることがあり…

犬の多中心型リンパ腫について

こんにちは。 今回は犬の多中心型リンパ腫について少しお話ししたいと思います。 「多中心型リンパ腫」は、リンパ球が異常に増殖するリンパ腫という病気のひとつで、 体表のリンパ節が腫脹してくることで発見され来院されることの多い病気です。 ゴールデン…

1歳ミニチュア・ピンシャーの大腿骨頭壊死症

⚠⚠手術関連の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠今回の症例は、1週間前から右後肢をかばって歩くようになったという、1歳のミニチュア・ピンシャーの男の子。 他院にて痛み止めを処方されましたが、改善せずセカンドオピニオンとして当院に来院…

内科療法で良好な反応が認められた7歳トイプードルの胆嚢粘液嚢腫

7歳去勢オスのトイプードルちゃん。 突然の食欲廃絶と元気消失で来院されました。 血液検査を行ったところ、重度の胆肝障害が生じている事がわかりました。 腹部超音波検査を行うと、胆嚢内に以下の様な所見が認められました。 写真① これは胆嚢粘液嚢腫とい…

皮膚に寄生したマダニ

先日、マダニが寄生したわんちゃんが来院されました。 マダニは寄生することにより、動物は貧血を起こしたり、様々な病気を伝播させます。 マダニ媒介性の疾病には、犬のバベシア症、人のライム病、人の重症熱性血小板減少症候群、など場合によっては重要か…

リウマチ性関節炎のミニチュアダックスフンド

今回の症例は、8歳齢のマルチーズの男の子です。 前肢の手首にあたる手根関節というところが徐々に外側へ曲がってきて、ベタ足になっているとのことで来院しました。 直角に曲がった手首や踵がベタッと地面につくことを「ベタ足」と言います。 以下の写真は…

僧帽弁閉鎖不全症から肺水腫を経験したが長期生存したワンちゃん

「僧帽弁閉鎖不全症」とは、左心房と左心室の間にある僧帽弁が変性することで、逆流が生じてしまう状態のことを指します。 病態の進行に伴い、心臓はうっ血し更に悪化すると「肺水腫」という状態となり命の危険が生じます。 肺水腫とは、うっ血した心臓を原…

犬のメラノサイトーマ(良性黒色腫)

こんにちは! 今回の症例は8歳のエアデール・テリアの女の子です。 腰部の皮膚にできものがあるとの主訴で来院されました。 本人は元気食欲もあり、特にできものを気にする様子はありませんでした。 身体検査にて、腰背部の皮膚に大きさ2cmの黒色腫瘤が認め…

犬の会陰ヘルニアの一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 会陰とは肛門と外陰部(ペニスの根本や膣前庭)およびその周囲のことをいいます、そしてヘルニアとは脱出を意味するラテン語のherniaで、臓器や組織が何らかの原因で弱くなりできた体内の裂け目・孔…

精巣腫瘍(ライディッヒ細胞腫)の犬の一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回は犬の精巣腫瘍です。 症例は、ヨークシャテリア、14歳齢の男の子です。 健診にて精巣が片方腫れているのが分かりました。 写真のように左側の精巣が腫大し、右側の精巣が萎縮していました。 精…

MMD療法により慢性アレルギー性皮膚炎の改善が認められた症例

今回は慢性的なアレルギー性皮膚炎で困っていたわんちゃんに、 MMD療法と呼ばれるシャンプー療法を行い、皮膚の状態が改善したのでご紹介させいていただきます。 1歳になる前から皮膚の痒みと皮膚炎をたびたび繰り返しており、マラセチアという酵母菌の一種…

シベリアンハスキーのTPLO(脛骨高平部骨切り術)

シベリアンハスキー 4歳 1年前に前十字靱帯断裂の診断後同術式にて右足の手術を行いましたが、現在 左足の破行 を伴う為来院されました。レントゲン検査と関節鏡検査により前十字靭帯断裂と診断しTPLOを実施しました。 前十字靭帯断裂により膝関節が不安定に…

消化管間質腫瘍(GIST)の切除を行いました!

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回は先日の消化管腫瘍の症例についてです。 13歳のポメラニアンの女の子で、前日に突然吐いて、吐いたものを食べて、次の日から食欲がなくなったとのことで来院されました。 血液検査の結果は、リ…

白内障手術 6歳のミニチュアシュナウザー

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 眼が徐々に白くなってきているということで、6歳齢のミニチュアシュナウザーちゃんが先日来院されました。 眼圧検査、スリットランプ検査、眼の超音波検査、ERG(網膜電位図検査)等を行い、手術の…

乳腺腫瘍について

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 10歳、未避妊のピットブルで乳腺部にしこりがあるという主訴で来院されました。 乳腺部のしこりに対して細胞診を行ったところ上皮系の細胞が採取されたため、乳腺腫瘍を疑い腫瘤の摘出を勧めました…

膀胱鏡を用いた膀胱結石の摘出

今回は、膀胱鏡を用いた 膀胱結石の摘出についてご紹介します。 結石に対する治療は、結石のある場所や大きさ、種類によって異なります。 内科治療としては、療法食や内服薬による結石の溶解療法、また、細菌感染による結石の形成が疑わしい場合には抗菌薬を…

犬の皮膚形質細胞症の一例

今回は腫瘍症例について報告させていただきたいと思います。 症例は、チワワとマルチーズのミックス、14歳齢の男の子です。 左前肢肢間のできものを主訴に来院されました。 肢間には赤色ドーム状の1cm大の腫瘤が認められ、 細胞診検査(針を刺して細胞を採取…

膀胱結石・尿道結石 チワワ

今回は膀胱結石、尿道結石があった子についてお話しします。 チワワの男の子で、 1ヶ月前から膀胱炎の症状があり、尿がポタポタしかでないとのことでした。(以前の検査で、膀胱に結石があることは確認されていました) 再度、レントゲン検査、超音波検査で膀…