目が白く見える、と来院された9歳トイプードルちゃん。
一般的な身体検査では特に異常みられず。
目を散瞳させて検査を実施しました。
(中央部やや右側の白いのは光の反射です。)
ぼんやりと中央から全体にかけて、丸く白濁しているように見えます。
これは白内障ではなく、核硬化症と呼ばれるものになります。
核硬化症とは、水晶体が加齢とともに白濁を起こす水晶体の変化です。
水晶体の上皮細胞から持続的に作られる繊維が、水晶体核と呼ばれる中央部に年輪のように圧迫されることで白濁が起こります。
一般的に中年齢から起こり始める病態で、なんとなく目が白っぽくなってきた、ということで気づかれることが多いです。
似たような病気として、白内障があります。
核硬化症は加齢性の変化であり、治療は不必要です。
進行は徐々にするものですが、視覚を失うことはありません。
散瞳させて検査をした時に、白内障がみつかるケースもあります。その場合には、白内障に対して程度に応じた治療が必要になることもあります。
今回のわんちゃんを飼われている飼い主様のように、見た目が白くても、白内障なのか核硬化症なのかわからない場合は多いです。
私たちでも肉眼ではわからないことも多々あります。
このように散瞳させて、暗いところでしっかり拡大鏡を用いて検査することで白内障などは初めて除外できます。
目の病気は進行が早いことがあります。
気になる症状がある場合は早めにご相談いらしてください。