今回は、後肢の指の皮膚にできた腫瘤の紹介です。
中年齢のミニチュア・シュナウザーの子で右後肢の第3指に黒色の腫瘤が見られて精査を主訴に来院されました。
検査を目的に外科的切除しました。(切除生検)
結果はメラノサイトーマ(皮膚黒色腫)でした。
この腫瘍は良性で、きれいに切除すれば予後良好です。
似たような腫瘍にメラノーマ(悪性黒色腫)というものがあります。
両者とも、由来細胞はメラニン色素産生細胞と同じです。
細胞や核の形態や、腫瘍細胞の浸潤程度などから総合的に良性、悪性を判断していきます。
診断には、細胞診と組織診断とがありますが、細胞診だけでは良性、悪性の判断が難しい場合があり、組織生検による最終診断が重要となります。
悪性黒色腫の場合は非常に悪性度が高い場合があり、治療には積極的な外科処置(断脚、断指を含む)を行わなければならない時があります。
また追加の化学療法を行う場合もあります。
今回の症例では、飼い主様と相談し、腫瘤を最小マージンで切除し、悪性であれば追加の検査、治療を行うこととしました。結果は良性の皮膚黒色腫でしたので、今回の手術で経過観察としました。
腫瘍の中には切除して検査しないと診断がつかないものもあります。
早期に切除し、診断することで、最適な治療を選択できます。
皮膚に何か見つけた時は、早めの受診をおすすめします。