ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

1歳チワワちゃんの大腿骨頭壊死症 (レッグペルテス症)

チワワ、1歳、未避妊メスの症例。

後肢の挙上を主訴として来院されました。

 

後肢の伸展時の痛み及び、右後肢の筋量が反対側の肢と比べて脆弱化しているのを認めました。


院内での歩様では、患肢への負重は認められませんでした。

左右の膝蓋骨の脱臼は認めず、各神経学的検査においても異常は認められませんでした。

 

レントゲン検査では、右大腿骨頭における骨吸収病変を認め、
大腿骨頭壊死症(レッグペルテス症)と診断しました。

 

大腿骨頭壊死症(レッグペルテス症)は、
大腿骨頭の成長板への血液供給が不足することで、骨が虚血性に壊死してしまう疾患です。

大腿骨頭が壊死することで2次的に骨折を起こすこともあります。

この疾患は若齢期の小型犬(トイ犬種)において好発します。
最初は軽度な破行から始まり、重度になると激しい痛みと大腿部筋肉の萎縮を伴います。
一度壊死してしまった大腿骨頭は再生しない為、主に外科手術による治療が選択されます。

 

手術方法としては、壊死している骨頭を切除する大腿骨頭切除術、
もしくは股関節を人工関節に置換する股関節全置換術が適応となります。

本症例は、体格が非常に小さく人工股関節による手術は困難であると判断された為、大腿骨頭切除術を実施いたしました。

 



骨頭を切除することで、股関節が失われてしまいますが、経過と共に結合組織による偽関節の形成と股関節周囲の筋肉により、しっかりと歩行することが可能です。

しかし、術後の良好な結果を得るには、術後早期に股関節の可動性を回復させるストレッチやマッサージなどのリハビリを行う必要があります。

本症例も、術後に飼い主様にお家でのリハビリを頑張って頂いたおかげで、今では元気に走り回っています。


本疾患は放置することで、骨折などによる激しい痛みにつながることがある為、
若い子(12ヶ月齢未満)で急に破行を呈するようでしたら、なるべく早めにご相談頂くことをお勧め致します。