⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠
野良猫ちゃんを保護したとの事で、来院した猫ちゃんが横隔膜ヘルニアでした。
安静時の呼吸は正常でしたが、横に倒したり、激しい運動をすると呼吸が早くなるという症状がありました。
横隔膜ヘルニアは胎生期の横隔膜形成不全による先天性のものと、交通事故などによる後天性のものがあります。この猫ちゃんは年齢不詳で、いつから横隔膜ヘルニアだったのか不明です。
先天性か後天性かも不明ですが、先天性の横隔膜ヘルニアだった場合、新生児の段階での死亡率が高く、実際に症例として遭遇するのはまれであるとされています。
手術前のレントゲン像では横隔膜の穴から、肝臓、胃、腸が胸腔内に入り込んでおり、肺が背側においやられていました。この状態では肺が満足に膨らまないため、呼吸が苦しくなってしまいます。
手術中の写真で分かるように、横隔膜の左の大きな穴から臓器が胸腔に入り込んでいました。
横隔膜ヘルニアの合併症は50%の確率で起きるとされています。報告される合併症は気胸、臓器不全、肺水腫、消化管の閉塞があると言われています。
この猫ちゃんも術後に気胸と食道拡張が認められました。気胸に対しては手術中に胸腔ドレーンの設置を行ない、胸腔内の空気を抜去しました。食道拡張は内科治療を行いました。
退院後、胸腔内にあった臓器がすべて腹腔内に戻っています。激しい運動をしても呼吸は問題なく、再ヘルニアも起きていません。食欲もあり、新しいお家で楽しく暮らしています。