ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

持続する肝酵素上昇の子に肝生検を実施し、内科治療の変更で改善した一例

こんにちは、今回は肝臓病の症例についてお話しします。 初めに、、、 肝臓とは体に必要な蛋白や糖などを作り、体に有害な毒性物質などを分解する臓器で、体にとってとても重要な臓器です。 肝臓がなんらかの理由で障害が受けた時に血液検査で肝酵素(ALT、A…

生後7ヶ月のチワワちゃん チェリーアイ(瞬膜腺脱出)

先日7ヶ月齢のチワワちゃんが、眼の腫れを主訴に来院されました。 これは瞬膜腺が脱出した状態、いわゆるチェリーアイという病気です。 瞬膜腺と眼窩周囲組織の間を結合している繊維束が脆弱化することで発症すると考えられています。 似たような症状で、瞬…

歯肉炎と歯周病について

こんにちは。 今回は歯周病について紹介したいと思います。 歯周病には、歯周ケアをすることで改善する歯肉炎と 一般的な歯周ケアでは改善しない歯周炎というものがあります。 歯周炎は、歯肉だけではなく歯肉周囲の骨などに病変が広がったもので、 治療とし…

2ヶ月齢の子犬のジアルジア症

2ヶ月齢の子犬ちゃんで、軟便や下痢 を主訴に来院された症例です。 糞便検査にて原虫が確認されました。 (見づらくて申し訳ありません) この原虫はジアルジアというもので、一般的に小腸に寄生しています。特に子犬ではしばしば感染が認められることがあり…

犬の多中心型リンパ腫について

こんにちは。 今回は犬の多中心型リンパ腫について少しお話ししたいと思います。 「多中心型リンパ腫」は、リンパ球が異常に増殖するリンパ腫という病気のひとつで、 体表のリンパ節が腫脹してくることで発見され来院されることの多い病気です。 ゴールデン…

1歳ミニチュア・ピンシャーの大腿骨頭壊死症

⚠⚠手術関連の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠今回の症例は、1週間前から右後肢をかばって歩くようになったという、1歳のミニチュア・ピンシャーの男の子。 他院にて痛み止めを処方されましたが、改善せずセカンドオピニオンとして当院に来院…

内科療法で良好な反応が認められた7歳トイプードルの胆嚢粘液嚢腫

7歳去勢オスのトイプードルちゃん。 突然の食欲廃絶と元気消失で来院されました。 血液検査を行ったところ、重度の胆肝障害が生じている事がわかりました。 腹部超音波検査を行うと、胆嚢内に以下の様な所見が認められました。 写真① これは胆嚢粘液嚢腫とい…

皮膚に寄生したマダニ

先日、マダニが寄生したわんちゃんが来院されました。 マダニは寄生することにより、動物は貧血を起こしたり、様々な病気を伝播させます。 マダニ媒介性の疾病には、犬のバベシア症、人のライム病、人の重症熱性血小板減少症候群、など場合によっては重要か…

リウマチ性関節炎のミニチュアダックスフンド

今回の症例は、8歳齢のマルチーズの男の子です。 前肢の手首にあたる手根関節というところが徐々に外側へ曲がってきて、ベタ足になっているとのことで来院しました。 直角に曲がった手首や踵がベタッと地面につくことを「ベタ足」と言います。 以下の写真は…

僧帽弁閉鎖不全症から肺水腫を経験したが長期生存したワンちゃん

「僧帽弁閉鎖不全症」とは、左心房と左心室の間にある僧帽弁が変性することで、逆流が生じてしまう状態のことを指します。 病態の進行に伴い、心臓はうっ血し更に悪化すると「肺水腫」という状態となり命の危険が生じます。 肺水腫とは、うっ血した心臓を原…

犬のメラノサイトーマ(良性黒色腫)

こんにちは! 今回の症例は8歳のエアデール・テリアの女の子です。 腰部の皮膚にできものがあるとの主訴で来院されました。 本人は元気食欲もあり、特にできものを気にする様子はありませんでした。 身体検査にて、腰背部の皮膚に大きさ2cmの黒色腫瘤が認め…

犬の会陰ヘルニアの一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 会陰とは肛門と外陰部(ペニスの根本や膣前庭)およびその周囲のことをいいます、そしてヘルニアとは脱出を意味するラテン語のherniaで、臓器や組織が何らかの原因で弱くなりできた体内の裂け目・孔…

精巣腫瘍(ライディッヒ細胞腫)の犬の一例

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回は犬の精巣腫瘍です。 症例は、ヨークシャテリア、14歳齢の男の子です。 健診にて精巣が片方腫れているのが分かりました。 写真のように左側の精巣が腫大し、右側の精巣が萎縮していました。 精…

MMD療法により慢性アレルギー性皮膚炎の改善が認められた症例

今回は慢性的なアレルギー性皮膚炎で困っていたわんちゃんに、 MMD療法と呼ばれるシャンプー療法を行い、皮膚の状態が改善したのでご紹介させいていただきます。 1歳になる前から皮膚の痒みと皮膚炎をたびたび繰り返しており、マラセチアという酵母菌の一種…

シベリアンハスキーのTPLO(脛骨高平部骨切り術)

シベリアンハスキー 4歳 1年前に前十字靱帯断裂の診断後同術式にて右足の手術を行いましたが、現在 左足の破行 を伴う為来院されました。レントゲン検査と関節鏡検査により前十字靭帯断裂と診断しTPLOを実施しました。 前十字靭帯断裂により膝関節が不安定に…

消化管間質腫瘍(GIST)の切除を行いました!

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 今回は先日の消化管腫瘍の症例についてです。 13歳のポメラニアンの女の子で、前日に突然吐いて、吐いたものを食べて、次の日から食欲がなくなったとのことで来院されました。 血液検査の結果は、リ…

白内障手術 6歳のミニチュアシュナウザー

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 眼が徐々に白くなってきているということで、6歳齢のミニチュアシュナウザーちゃんが先日来院されました。 眼圧検査、スリットランプ検査、眼の超音波検査、ERG(網膜電位図検査)等を行い、手術の…

乳腺腫瘍について

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 10歳、未避妊のピットブルで乳腺部にしこりがあるという主訴で来院されました。 乳腺部のしこりに対して細胞診を行ったところ上皮系の細胞が採取されたため、乳腺腫瘍を疑い腫瘤の摘出を勧めました…

膀胱鏡を用いた膀胱結石の摘出

今回は、膀胱鏡を用いた 膀胱結石の摘出についてご紹介します。 結石に対する治療は、結石のある場所や大きさ、種類によって異なります。 内科治療としては、療法食や内服薬による結石の溶解療法、また、細菌感染による結石の形成が疑わしい場合には抗菌薬を…

犬の皮膚形質細胞症の一例

今回は腫瘍症例について報告させていただきたいと思います。 症例は、チワワとマルチーズのミックス、14歳齢の男の子です。 左前肢肢間のできものを主訴に来院されました。 肢間には赤色ドーム状の1cm大の腫瘤が認められ、 細胞診検査(針を刺して細胞を採取…

膀胱結石・尿道結石 チワワ

今回は膀胱結石、尿道結石があった子についてお話しします。 チワワの男の子で、 1ヶ月前から膀胱炎の症状があり、尿がポタポタしかでないとのことでした。(以前の検査で、膀胱に結石があることは確認されていました) 再度、レントゲン検査、超音波検査で膀…

アメリカンブリーの帝王切開

先日はアメリカンブリーの女の子の帝王切開がありました! 帝王切開を行う機会はそう多くはないですが、 短頭種など、頭が大きい犬種では胎仔が産道をうまく通らず難産になることがよくあります。 今回は全部で5頭で、みんな無事でした! 元気な声で鳴いて、…

前十字靭帯断裂に対してTTA(脛骨粗面前進化術)と膀胱結石摘出を同時に行った柴犬

今回は、前十字靭帯断裂に対してTTA(脛骨粗面前進化術)と膀胱結石摘出を同時に行ったワンちゃんのお話です。 膀胱結石が食事療法や内科治療に反応がなく、膀胱結石摘出の手術を考えていた矢先に、後ろ足を浮かせるようになった、ということで先日受診され…

頸部椎間板ヘルニア(突出・逸脱症) 頸部腹側減圧術(ベントラルスロット)

⚠⚠手術の画像、動画が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠今回は、頸部椎間板ヘルニアを発症し、手術で激的な改善をした12歳のチワワちゃんをご紹介します。 この子は右前肢・後肢不全麻痺の状態で来院されました。 来院された翌々日にMRI撮影を実施…

犬の短頭種上部気道症候群

⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠ 先日フレンチブルドッグのわんちゃんに外鼻孔狭窄矯正手術を行いました。 短頭種は外鼻孔が狭く、年中鼻からズーズー異常な呼吸音をして、時には努力性の呼吸が認められる事があります。この子も外…