ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

MMD療法により慢性アレルギー性皮膚炎の改善が認められた症例

今回は慢性的なアレルギー性皮膚炎で困っていたわんちゃんに、

MMD療法と呼ばれるシャンプー療法を行い、皮膚の状態が改善したのでご紹介させいていただきます。

 

 

1歳になる前から皮膚の痒みと皮膚炎をたびたび繰り返しており、マラセチアという酵母菌の一種が皮膚で過剰に増えている様子でした。


そのたびに痒み止めや抗真菌薬を処方しており当初はそれで皮膚炎の改善も見られていましたが、

途中から痒み止めや抗真菌薬を飲んでも痒みや皮膚炎がおさまらなくなってしまいました


こちらはMMD療法と呼ばれるシャンプー療法を始める前の写真です。

顔周りや四肢を中心に脱毛と皮膚の赤み、フケがみられることが写真からわかります。

 

 

 

ところでMMD療法とは、慢性難治性のアレルギー性皮膚炎のわんちゃんのために提唱されているシャンプー療法の1種です。

 

治療で用いる

 

M : モメタオティック

M:マラセブ

D:ダームワン

 

の頭文字からMMD療法と名付けられています

 

モメタオティックはステロイドと抗生剤と抗真菌薬の3種類が入った塗り薬で、

マラセブはマラセチア性皮膚炎で適応になる薬用シャンプー

ダームワンは保湿剤になります。

 

 

 

簡単に手順を説明すると、皮膚炎がひどい部分の毛を刈り、モメタオティックを塗布して3時間待機します。

その後マラセブで塗布した塗り薬を流しながらシャンプーを行います。

最後にダームワンで保湿を行うのですが、当院ではダーマモイストバスと呼ばれる入浴剤タイプの保湿剤によってシャンプー後の保湿を行っています。


こちらを週に1回計4回行い皮膚炎の改善を確認します。


 

写真の子は週に1回の頻度では行えなかったので2週に1回の頻度でMMD療法を行いました。

 

 

 

こちらがMMD療法4回完了後の写真です。最初の写真と比べて顔周りや四肢の赤みとフケがほとんどなくなり毛も生えてきています。

 

現在この子は、食物アレルギーがみつかったのでアレルギー用の食事に変更しており1年近く皮膚炎の再発は認められていません。

 

 

アレルギーなどによる皮膚の痒みはわんちゃんの生活に大きな影響を与えるものの1つです。そのため痒みを少し改善させるだけでもその子の生活の質は良くなると思います。

 

難治性のアレルギー性皮膚炎でお困りの方はぜひご相談ください。