ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

内科療法で良好な反応が認められた7歳トイプードルの胆嚢粘液嚢腫

7歳去勢オスのトイプードルちゃん。

突然の食欲廃絶と元気消失で来院されました。



血液検査を行ったところ、重度の胆肝障害が生じている事がわかりました。

腹部超音波検査を行うと、胆嚢内に以下の様な所見が認められました。

写真①

これは胆嚢粘液嚢腫という疾患の所見です。
胆嚢内がキウイフルーツの断面の様な所見が特徴的です。

 

一方、こちらが正常な胆嚢の所見です。

 

写真②

胆嚢粘液嚢腫とは、ムチンという粘性に富んだ粘液が胆嚢内に蓄積することで胆嚢が拡張し閉塞してしまう疾患です。

これを放置しておくと、重度の肝障害を引き起こしたり、いずれ胆嚢が破裂してしまう危険性があります。
胆嚢内は細菌が豊富に含まれる為、腹膜炎を引き起こし死に至る可能性もあります。

 

治療は主に外科的に胆嚢を摘出する方法があります。

胆嚢粘液嚢腫になる前に早期の段階であれば、内科的に治療に反応するケースもあります。

 

 

本症例は、内科治療への良好な反応が見られました。

 


胆嚢粘液嚢腫はホルモン疾患(クッシング症候群、甲状腺機能低下症)高脂血症などがリスク因子となります。

ホルモン疾患に関しては高齢な子で多く認められる為、健康診断などで全身のチェックを一度行うと早期発見につながるので、ご心配な方はいつでもご相談下さい。