⚠⚠手術の画像が含まれます。苦手な方は閲覧ご注意下さい⚠⚠
今回は先日の消化管腫瘍の症例についてです。
13歳のポメラニアンの女の子で、前日に突然吐いて、吐いたものを食べて、次の日から食欲がなくなったとのことで来院されました。
血液検査の結果は、リパーゼという膵臓の値が高く、炎症の程度を評価するCRPも高い値でした。
また、超音波検査では、消化管の中の盲腸がある位置に大きな腫瘤様のものがみられました。
この腫瘤により消化管が詰まっている可能性が考えられ、
その腫瘤は腫瘍性疾患、炎症性疾患のどちらかによるものであると考えられました。
その腫瘤を摘出する必要があるのか調べるために、
CT検査と細胞診検査(腫瘤の細胞を採取し調べる検査)を行いました。
検査の結果はやはり盲腸に腫瘤があり、炎症を伴う腫瘍性疾患が疑われました。
そこで摘出手術を計画し、それまでの間、抗生剤の投与を開始しました。
抗生剤の投与で腫瘤の周囲の炎症が少しおさまり、消化管の詰まりが解消されたのか
消化器症状は改善方向に向かっていました。
手術は盲腸の周囲の回腸と結腸を含めた消化管切除術を行いました。
この術式では、回盲弁(回腸と盲腸の間にある弁)も切除してしまうため、合わせて回盲弁形成術も行いました。
(盲腸に発生した腫瘍の様子と切除後の様子です。)
腫瘤の正体は消化管間質腫瘍(GIST)でした。
手術後は数日の入院ののち、無事退院し、元気食欲ともに快方に向かっております。
嘔吐などの消化器症状を示す子は、さまざまな病気の可能性があり
何もしなくても治ってしまう場合や、様子を見ていると手遅れになってしまう場合があります。
早期発見、早期治療が一番大切ですので、少しでも気になることがあれば、診察に来ていただければと思います。