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今回は、足指の腫脹と出血を主訴に来院された猫ちゃんの症例です。
足指の外側に1cm大の腫瘤が確認されました。硬結しており、排膿はありませんでした。
肺趾症も疑われましたが、レントゲンでは肺野に明らかな陰影はありませんでした。
FNAを行ったところ軟部組織肉腫か混合炎症による線維芽細胞の増殖が疑われました。
これ以上の腫瘤の大きさになると辺縁部切除も困難となる可能性があったため、早期にCTと辺縁部腫瘤切除を行いました。
CTでは明らかな転移や浸潤はなく、病理検査結果からも良性若しくは低悪性度であり、予後は良好である可能性が高いと示唆されました。
今後は定期的に病変部を観察していき、再発の有無を確認していく予定です。
末梢神経鞘腫はシュワン細胞、神経周膜細胞、神経線維芽細胞から生じる腫瘍であり、猫では皮膚、皮下、骨格筋、粘膜など全身の様々な部位で発生の報告がされています。悪性は稀であるが、所属リンパ節や肺の転移も報告されています。
末梢神経に発生する腫瘍の場合、猫で重要なのがリンパ腫との鑑別です。
治療は外科療法、放射線療法、化学療法、緩和療法が選択肢となります。
末梢神経鞘腫の場合は完全切除が可能な場合は外科切除が第一選択となります。
しかし、脊柱管内や神経根など脊髄付近に発生した末梢神経鞘腫は完全切除が困難であるため手術は不適応となります。また、放射線療法や化学療法の有効性はあまり報告されていません。