ふなばし動物医療センター 日々の診療

ふなばし動物医療センター(かつまペットクリニック)での日々の診療などをご紹介いたします。(HP: https://katsuma-pc.jp)

コクシジウム症の若齢猫ちゃん

3ヶ月齢のアビシニアンの猫ちゃん。

間欠的な軟便を主訴として来院されました。

元気や食欲は良好で一般状態も問題無しです。

 

採便を行い採取した便を顕微鏡で観察すると。。。。

 

コクシジウムという寄生虫の虫卵が見つかりました。


コクシジウムとは感染した猫の糞便に含まれる「オーシスト」と呼ばれる卵型の原虫が体内に入ることで感染し、消化管内に寄生することで、下痢を主徴とする消化器症状を引き起こします。

感染していない猫がこのオーシストを含む糞便を口にしてしまったり、オーシストに汚染された食器やトイレを舐めたりすると感染してしまいます。

そのため、コクシジウムの感染のある糞便は速やかに処理する事や使用した食器やトイレは70度以上の熱湯などで消毒する事がお勧めされます。


一般的に猫のコクシジウム症は病原性が低く、生猫では感染しても症状が現れない事が多いです。
しかし、腸内バランスが未発達な仔猫が感染する事で症状が強く出る場合があり、下痢のほかに嘔吐や食欲不振により脱水症状がでて致命的なる危険性もあります。

なので、子猫の下痢は放っておかず、早めに病院を受診されることをお勧めします



コクシジウム症の治療には「トリトラズリル」という抗コクシジウム薬が有効です。本症例に対してもトリトラズリルを投与し治療を行いました。

コクシジウム症は糞便検査で感染が確認でき、治療を行えば治せる病気です。

しかし子猫の場合、感染に気付かなければ、下痢などの症状が悪化し体力を消耗し命に関わるケースもあります。

新たに子猫を迎え入れた時は、糞便に異常がなくても糞便検査を行うようにしましょう。