こんにちは。
今回は犬の多中心型リンパ腫について少しお話ししたいと思います。
「多中心型リンパ腫」は、リンパ球が異常に増殖するリンパ腫という病気のひとつで、
体表のリンパ節が腫脹してくることで発見され来院されることの多い病気です。
ゴールデンレトリーバーやラブラドールレトリーバーなどに好発し、
中高齢以上での発症が多いとされています。
初期の頃は無症状であることも多いですが、
進行すると発熱、元気食欲の低下などの症状が現れることがあります。
全身性の疾患なので治療は化学療法を主体に行います。
リンパ腫の種類にもよりますが、高悪性度の場合、
無治療での生存期間の中央値は4~6週間といわれています。
化学療法を行った場合の生存期間中央値は1年程度です。
化学療法には、複数の抗がん剤を使用する多剤併用療法が行われることが多く、
シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンなどの抗がん剤が使用されます。
治療により完治を目指すことは難しく、症状が出ない状態(寛解状態)を目指すことになります。
また、抗がん剤使用時には副作用が強く出ることがあるので、
ご家族と連携をとりながら、一緒にケアしていくことが必要となります。
犬の多中心型リンパ腫は比較的発生率が高い病気ですが、早期発見し
早い段階で治療することで90%の症例が治療に反応する病気です。
当院でも現在何頭かリンパ腫の子がおり、抗がん剤治療を頑張っています。
普段から、家で体表リンパ節(首、脇、股、膝の裏など)を触って大きさを知っておくことが
早期発見につながりますので、
日々のマッサージのついでにチェックしてみてはいかがでしょうか?