今回は膀胱結石、尿道結石があった子についてお話しします。
チワワの男の子で、
1ヶ月前から膀胱炎の症状があり、尿がポタポタしかでないとのことでした。
(以前の検査で、膀胱に結石があることは確認されていました)
再度、レントゲン検査、超音波検査で膀胱の様子を確認したところ
膀胱の他に、尿道内に複数の結石が見つかりました。
このままでは、尿道が閉塞してしまう状態になると考えられたため、
麻酔をかけて、尿道の結石を膀胱に戻し、
その後、膀胱を切開し、結石を取り出そうと計画しました。
尿道の結石を膀胱に戻すために、
尿道にカテーテルと呼ばれる管を挿入し、生理食塩水などを勢いよく注入し、
水圧で結石を膀胱に運ぶという方法を行いました。
しかし、尿道結石の一つが陰茎骨と呼ばれる、犬の陰茎にある骨の間に引っかかってしまい、
なかなか膀胱に送ることができませんでした。
できれば1ヶ所の切開(膀胱切開)だけで手術を行った方が
患者さんの負担は少ないのですが、
尿道から結石がどうしても動かなかったので
膀胱切開に加えて、尿道を切開し結石を取り出すことにしました。
手術は無事終了し、
数日間、尿道にカテーテルを挿入した状態で入院してもらいました。
尿道切開を行なったため入院日数は長くなってしまいました。
(入院中に少し仲良くなりました)
その後は、尿が詰まることもなく、元気に過ごしています。
結石の成分は「シュウ酸カルシウム」というもので、
療法食で溶けることが期待できない種類の結石でした。
今回のように、尿路閉塞が起こってない場合では比較的安全に手術を行うことができますが、
完全閉塞になる症例では命にも関わってくるものです。
また、当院では腹腔鏡や膀胱鏡を用いた手術方法もありますので、
相談していただければと思います。