症例は9歳、ブリティッシュショートヘアの猫ちゃんです。
5年前から角膜中央に点状の黒色壊死あり。
手術を推めたが、経過観察希望。
ある日、黒色壊死側の目から流涙、眼痛、眼瞼痙攣あるとのことで来院。
黒色壊死部周囲の血管新生、角膜浮腫あり、穿孔、眼房水流出の可能性あり。
治療は角膜深部まで到達してる可能性があるため、外科治療を選択。
角強膜移動術を行う予定です。
角膜黒色壊死症について
病態
角膜分離症とも言われ、どの猫でも発症ば見られるが、特にペルシャやヒマラヤン、シャムなどで好発する。詳細な原因やメカニズムは明らかになっていないが、慢性的な角膜潰瘍や角膜炎などに続発してみられ、猫ヘルペスウイルス1型感染や眼瞼内反症などが背景にあるケースが多い。
黒褐色〜黒色病変が角膜中央に見られることが多い。また病変は角膜実質浅層に見られることが多いが、進行すると全層に及ぶ場合がある。
症状
病変物周囲の角膜潰瘍、角膜浮腫、血管新生、炎症産物浸潤、眼痛、眼瞼痙攣、流涙、角膜穿孔など
治療
外科:病変が表層の場合は角膜表層切除や人工角膜移植、実質に深く浸潤している場合は角結膜移動術や結膜被覆術などを行う。
術後は点眼薬や内服薬で二次感染予防や再発予防を行う。
ウイルス感染が疑われる場合は抗ウイルス薬も併用。
内科:手術ができない場合や病変が浅層に留まっていれば、角膜潰瘍や感染を管理しつつ自然治癒(突発的に壊死部脱落)を待つこともある。
治癒までに数ヶ月〜数年かかることが多い。